2009年9月3日

『プロの残業術。』長野慶太・著 vol.1872

【できる人の「時間外」の過ごし方】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4794217242

以前勤めていた外資系企業では、お盆休みがありませんでした。

「日本人の文化をないがしろにするんですか!」とマネジャーに食ってかかったら、意外な答えが返ってきたのです。

「いや?、日本はアメリカと違って祝日が多いからねえ…」

そうなのです。われわれ日本人は、自分たちを「働き者」と思い込んでいますが、外資系で優秀なマネジャーたちを見てきた土井からすると、たとえ外資系であっても、優秀なマネジャーは残業したり、早朝出社したりと、かなりの努力を重ねているのです。

本日ご紹介する一冊は、やはり同じように外資系企業の実態を知る著者が、優れたビジネスマンがやっている「残業」の実態と、その活用方法を説いた一冊。

著者いわく、「人が職場で苦しむのはストレスであって時間ではない」。

だから、むしろ積極的に残業することによってスキルも知識量もアップさせよう、というのが本書の主張です。

著者が説くのは、定時を過ぎたら「自分のための仕事」をする、というやり方。

この残業時間で調べ物をして仕事の精度を高めたり、自分のための勉強をしたりする。さらには、上司の椅子に座ってみてマネジャーになった時のイメージを持つ…。

上司の書類を盗み見たり、私用電話をかけたり、一見、とんでもない主張をしていますが、確かに有用なやり方だとは思います。

語り口調に癖があって、好き嫌いが分かれそうですが、行き過ぎたノー残業論から距離を置き、健全な能力開発をするためのいいきっかけになると思います。

ビジネスが価値創造の競争である以上、頑張った人が報われるのは自明の理。

どんなにビジネス書の流行が変わっても、自己研鑽だけは怠るべきではないのです。

周りが疲れているうちに、着実に自分の価値を高めていきたい、という人におすすめの一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ビジネスの現場は個々人に「ゆとり」があるかないかなどとはまったく無関係に進行している

盗んでこそのスキルアップなのだ。そして盗ませてもらうまでには圧倒的に時間をかけることが必要なのだ

あなたが偉くなれるかどうかは、あなたがどれだけ時間をかけたかによる

もしあなたの上司が、無造作に会社のキャビネットに経営会議のファイルやら月次決算のファイルなどを入れているのなら、そういうものはどんどん見ればいい

「優先順位仕事術」は、「劣位に置いた仕事にも着手できるだけの時間的余裕があとで必ず来る」という前提条件のある人しか使いこなせない

優先順位に関係なく、抱え込んだTo Doリストの項目を消していくことはストレスマネジメント上とても大事なことだ

ビジネスの世界では、あなたが今夜やらない仕事は、ライバル企業がやっている。あるいはあなたが今夜寝ている間に、海の向こうの昼間の間にその仕事をやっている業者がいる

優秀なリーダーはみな短気。そのペースについていけ

「考える時間」を効率化できる人はいない

自分より一つでも二つでも職位が上の上司の椅子に座ってみる

本当にあなたのためになる研修とは「非売品」である。ならば、カネの代わりに身体(残業)を払ってでもあなたは手に入れるべきなのだ

ただ日ごろ情報を早く上げるように説いてさえすればそれで本当に情報が上がってくるのだとしたら、上司とは気楽な稼業だ。実際には、人間関係やしがらみから、悪い情報を報告しない部下が必ず出てくる

情報は、眉間にシワのない人のもとに集まる

日本の祝日の多さを知らない日本人

残業ゼロの職場でのもう一つのリスクは、極端に日常業務遵守型になってしまうことである。言いかえれば、戦略を忌み嫌うスタイルになることだ

ゆとり教育は法の施行である。しかし世の中の責任感のある親たちは、法律がどうあれ、子どもに勉強を放り出していいとは言わなかった。多くの子どもたちは塾に向かった。いま、あなたは子どものころと違って、自分で自分を管理している。ゆとりでいいというのもあなた。夢を追ってあと一息がんばれと言うのもあなた

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『プロの残業術。』草思社 長野慶太・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4794217242
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◆目次◆
はじめに──その仕事のやり方で、あなたは本当に幸せになれるか?
Part1 一流になるにはなぜ「プロの残業」が必要か?
Part2 残業時間を「自分のための時間」に変える
Part3 「一流の仕事」を生み出す、時間外の行動力
Part4 一段上の「イレギュラーワーク」で力をつける
Part5 それでも残業がつらいというあなたへ
おわりに──夢は追うけど急がない

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