2009年5月19日

『奇跡のご当地ヒーロー「超神ネイガー」を作った男』 海老名保・著

【土井いちおしの一冊】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4872904117

本日ご紹介する一冊は、タイトル通り、『奇跡のご当地ヒーロー「超神ネイガー」を作った男』です。

おそらくほとんどの方は、「超神ネイガー」って何だ? と思われたかと思いますが、じつはこれ、秋田で大ブレイクした、ご当地ヒーロー。

巨大なきりたんぽ型の「キリタンソード」とハタハタ型の銃「ブリコガン」を持つ、ちょっとゆるキャラなスタイルが受け、なんと年間公演200回、動員数10万人、テレビ放映、大手企業CM出演、関連グッズ30万個販売と、異例の大成功を収めています。

とはいえ、本が面白いかどうかは、まったくの別問題。

じつは先日、発売元のWAVE出版さんから本書の説明を受けたのですが、当初は正直、「地元だから義理で小さく紹介するか」ぐらいに思っていました。

ところが、読んでみると、これが恐ろしいほど面白い!

じつはこの著者、海老名保さんは、ビジネス書をこよなく愛する人物で、神田昌典さんはじめ多くのビジネス書著者から影響を受けてビジネスを成功させています。

本書には、その成功哲学とビジネス理論、そして専門であるキャラクタープロデュースの視点が入っているのです。

なかでも参考になったのは、「正義の心に悪の力」という、魅力あるキャラ作りの原理。

本書では、著者がこの原理をいかにして「ネイガー」に反映していったのか、そのプロセスとトリックが語られています。

現在、著者は沖縄はじめ、さまざまな地域でキャラクタービジネスを展開し、大成功を収めていますが、それも本書で書かれている再現性ある理論あってこそ。

ヒットメーカーを目指す方は、必読。地域おこしに興味のある方も、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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仮面ライダーとタイガーマスク、この二人のヒーローはなぜ子どもの頃の僕は夢中になったのだろう? 実はこの二人のヒーローにはほかのヒーローにはない共通点がある。どちらも悪の組織に悪の力を植え付けられ、その悪の組織を裏切って正義のために力を使ったことだ

海老名少年は、みんなが同じ経験をしていることが悔しくて仕方がなかった。そしてあまりの悔しさに友人達に言ったのだ。
僕「昨日僕、ライダーショーにいなかったよね?」
友達「うん」
僕「だって、あのV3に変身していたのは僕だからさ」
友達「…………」

新生UWFに入門したのは、夏の終わりのことだった。(中略)道場には、当時若手レスラーだった宮戸さんという方がおられて、その方に入門して最初にいただいた言葉は「お前いつやめるんだ」という言葉だった(中略)それでもキツイ練習を耐えて1ヵ月を過ぎた頃、その宮戸さんが僕の肩をポンと叩き、「お前はもう大丈夫だな」と言ったのだ。きょとんとする僕に、宮戸さんは続けてこう言った。「プロで生きるために、最初の半月から1ヵ月ぐらい、脱走してもいいと意識して新人をシゴき抜き、残ったものだけを受け入れるんだ」。続いて「それがずっと続くと思い、みんな逃げ出すんだ」と

「目の前で起こる現象で未来を予測しない」
「物事を直線で考えず螺旋で考える」

手術の準備をして移動式ベッドで手術室に運ばれることになった。心配した先輩方、フロントの方々が僕のベッドを取り囲んでいた。僕は、迷惑をかけたことを申し訳なく思い、何か言おうとしたのだが、口から出てきた言葉は、「念願の改造手術を受けてきます」

しゃがみ込んだ僕に、まわりの人達は無言で見て見ぬ振りだった。惨めな空間。そして発作が起こったときの施設側の対応――。僕の中に一つの野心が芽生えた。「もっと強くなって自分の力で生き抜いてやる」

秋田の子どもたちは生まれたときから「?しねぇが」「?いねぇが」という言い回しを何千回と聞いている。だから「ネイガー」と聞いたとき自然に反応してしまうのだ

ヒーローの世界観で最も重要なもの、それは”敵”だと僕は思う

最初、「ダジャーク帝国」というネーミングを考えていたのだが、高橋大と冗談半分で「組合っておもしろくね?」といったことから、今の設定ができあがった(中略)これも実は”陰と陽”だ。悪と笑いを組み合わせる

身に付けたキャラクタープロデュース力や製作技術を使い、オリジナルヒーローを秋田県外に”輸出”

勝利の美酒に酔っている間に置いていかれる

正統派70年代ヒーロー×ゆるキャラ+ご当地

もちろんアイディアは大事だし、これがなければ始まらない。しかしあのマスク造形はアイディアで生まれた物だろうか? 僕はネイガーを世に出す前に、恐らく一般の人が一生かけて粘土を触る時間の数十倍は、粘土をいじり続けた。樹脂を加工し、指紋や爪がなくなる程のヤスリ掛け作業を行った。つまりネイガーのマスクは独学で数年かけて得た技術を駆使した結果であり、ネイガーのバック転も回し蹴りも、すべてアイディアから生まれたものではない

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『奇跡のご当地ヒーロー「超神ネイガー」を作った男』WAVE出版 海老名保・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4872904117
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prologue 「金なし、コネなし、無名の男」が始めた、最後の賭け
Episode1 「超神ネイガー」の誕生[前編]
Episode2 「超神ネイガー」の誕生[後編]
Episode3 「正義のワル知恵」のビジネス戦略
Episode4 失敗の中から編み出した成功法則「海老名流3理論」
Episode5 正義のワル知恵のビジネス哲学
epilogue 次のカブトムシを探しに行こう

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