2009年2月25日

『心のなかの幸福のバケツ』 トム・ラス、ドナルド・O・クリフトン・著

【いつでも前向きになれる方法】
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本日の一冊は、ロングセラー『さあ、才能に目覚めよう』で一躍有名になった強み発見ツール、「ストレングス・ファインダー」が体験できるもう一冊の本。

※参考:『さあ、才能に目覚めよう』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/ 4532149479/

「ストレングス・ファインダー」の発明者であり、「ポジティブ心理学の祖父」でもあるドナルド・O・クリフトンの遺作で、人がどうすれば前向きに生きられるのかを、科学的に考察した内容です。

衝撃的なのは、冒頭で紹介されている、朝鮮戦争後の北朝鮮キャンプの話。

ここで捕虜になったアメリカ兵は、肉体的な拷問がほとんど行われなかったにもかかわらず、北朝鮮側の卑劣な心理作戦によって何と38%が死亡したそうです。

これは、アメリカ陸軍史上最大の死亡率だそうですが、その作戦というのが、何と「人からポジティブな感情を奪う」ことだったのです。

実際に行ったのは、仲間同士の密告や、上官に対する忠誠心を打ち砕くなどの心理作戦。これにより「あきらめ病」が蔓延し、上記のような悲惨な結果につながりました。

この衝撃的な事実を皮切りに、ネガティブな感情の持つマイナス面を指摘し、どうすれば人や組織がポジティブに変われるかを指南したのが、本書『心のなかの幸福のバケツ』なのです。

わずか100ページちょっとの内容ですが、この中に、社員をやる気にさせる秘訣や、チーム力を高めるためのポイント、教育に欠けている視点などが凝縮されています。

人の上に立つ人や教え導く人、そして自分の人生を充実させたいと願うすべての人に、おすすめの一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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人は誰でも心にバケツをもっている。他人に何かを言われたり、されたりするたびに、このバケツの水は増えたり減ったりする。バケツの水がいっぱいのときは、気分がいい。バケツが空になったとき、気分は最悪だ

北朝鮮の収容所では、肉体的な拷問こそ少なかったが、「マラズマス」(あきらめ病)が原因で多くの兵士がなくなった。死亡率は三八パーセントにも達している。捕虜の死亡率としては、アメリカ陸軍史上最も高い。それ以上に驚かされるのは、死亡した捕虜の半分が、あきらめが原因で亡くなっていることだ

◆北朝鮮が「人間関係から得られる心の支えを奪う」ためにやったこと
1.密告させる
2.自己批判させる
3.上官や祖国に対する忠誠心を打ち砕く
4.心の支えになるものをことごとく奪う

組織においてポジティブな意識を高める――やる気を引き出し、前向きにさせるには、「認める」ことや「褒める」ことが欠かせない

ネガティブな社員が顧客を遠ざける

◆褒められた生徒と叱られた生徒で成績が上がった人の割合
・褒められた生徒…71パーセント
・叱られた生徒……19パーセント
・無視された生徒…5パーセント

夫婦のあいだで、ネガティブな言動一回に対して、ポジティブな言動が五回あれば、結婚生活は長続きする可能性が高い。この比率が一対一に近づくと、夫婦は離婚に至るという

「豚に歌を教えようとしてはいけない。時間の無駄だし、豚だって迷惑だ」

褒めるなら、ひとりずつ、具体的に、褒めるに値する点を褒める。そうすれば本人の喜びも大きく、効果があがる

誰かと話をするときには、自分の一言一言が、相手のバケツに水を注ぐことになるのか、それともくみ出すことになるのかを自問する

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『心のなかの幸福のバケツ』日本経済新聞出版社 トム・ラス、ドナルド・O・クリフトン・著
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◆目次◆
はじめに
第1章 人の命さえ奪うネガティブな感情
第2章 ポジティブなら仕事がはかどる
第3章 心のバケツに水が注がれる瞬間
第4章 水があふれでるバケツ――トムの物語
第5章 ひとりひとりに合ったやり方で
第6章 バケツに水を注ぐための五カ条
エピローグ

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