2009年1月8日

『君子を目指せ小人になるな』北尾吉孝・著

【君子とは何か? 北尾吉孝氏注目の最新刊】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4884748301

本日の一冊は、SBIホールディングスの代表取締役であり、中国古典に詳しい北尾吉孝さんが、『論語』をはじめとする中国古典をひも解き、「君子」になるための心構えを論じた一冊。

土井は以前から、「団塊ジュニアが30代半ばになったら中国古典ブームが来る」と言っていますが、本書はそのきっかけとなりそうな一冊です。

昨年までのビジネス書のキーワードは、「無責任」「自分だけ」だったと思いますが、今年は、チェ・ゲバラの映画も予定されており、「世のため、人のために体を張る」人間が支持されそうです。

同様のことを、本書の著者、北尾さんも述べています。

「個人的な生き方を追求する人を、孔子は「小人」と呼びました。そうした小人が増えるだけ、社会の秩序は乱れ、人と人の交わりは希薄になっていきます」「その反対に、自分の才能を他の人々のために尽くすことのできる者はそれだけ人物が大きいことになりますから、これを小人に対して君子と言うのです」

では、われわれはいかにして君子になれるのか。

本書には、まさにその心構えが書かれているのです。

君子が持つべき「三畏(=3つの畏れ)」、判断の規矩となる「信」「義」「仁」、孔子が教えた「文」「行」「忠」「信」…。

本書は、読者が偉人たちの教えを学び、自己を修養するための、絶好の教科書だと思います。

著者も自覚しているように、古めかしいタイトルではありますが、リーダーになる人は、ぜひ読んでおきたい一冊です。

ぜひ買って、何度も熟読することをおすすめします。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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徳行の優れた君子という者は、その獨を慎み、誰も見ていない所であっても、人道に外れたことはしないものだ

「君子に三畏あり。天命を畏れ、大人を畏れ、聖人の言を畏る。小人は、天命を知らずして畏れず、大人に狎れ、聖人の言を侮る」(『論語』季氏第十六)

「人間は自得から出発しなければいけない。人間いろんなものを失うが、何が一番失いやすいかというと自己である。根本的・本質的にいえば人間はまず自己を得なければいけない。人間はまず根本的に自ら自己を徹見する、把握する。此れがあらゆる哲学、宗教、徳の根本問題である」(安岡正篤)

◆判断の規矩となる「信」「義」「仁」
「信」:約束を決して破らないこと
「義」:正しいことを行うこと
「仁」:相手の立場になって物事を考えること

「子曰く、故きを温めて新しきを知る、以て師と為るべし」(為政第二)

◆孔子は文、行、忠、信という四つのことを教えた
「文」:『詩経』や『書経』を通して、さまざまな表現力を身につけること
「行」:人の道の実践
「忠」:真心を尽くすということ
「信」:偽りのないこと

志は野心とは違って、世のため人のために何かを行うものです。それは別に大きなことではなくてもいいのです。世のため人のために行うものであれば、人の肉体が亡びても、その志を受け継ぐ次の世代が必ず出てきます。ところが野心はそうではありません。たとえば金持ちになりたいとか、権力を握りたいといったものは自分の私利私欲から発するものです。こういうものは、自分の肉体が亡びたらそこで終わってしまいます

◆「仁」には「忠」と「恕」の両面がある
「忠」:自分自身を欺かず、全力投球し、忠実に努める
「恕」:相手を許す寛大な心

「利を見ては義を思う」(『論語』憲問第十四)ようでなくてはいけないのです。人は利に迷いがちですが、利に当面した場合、踏みとどまって、その利が義にかなったものであるかどうか、よく考えてみることが大切です

書物を深く読み、私淑する人を発見することが重要

「子曰く、徳は孤ならず、必ず隣あり」(『論語』里仁第四)徳のある人は、必ず周りに同じように徳の高い人が集まってくる。だから、決して孤独になることがない

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『君子を目指せ小人になるな』致知出版社 北尾吉孝・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4884748301
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◆目次◆

プロローグ
第一章 私にとっての中国古典
第二章 君子と小人
第三章 君子に備わる五つの徳
第四章 君子の条件
第五章 天命を知る
あとがき

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