2008年6月17日

『新宿駅最後の小さなお店ベルク』井野朋也・著

【今、一番売れてほしい本】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4860202775

本日の一冊は、JR新宿駅東口の改札を出てすぐ左にある、たった15坪の超有名店、「ベルク」の店長による初めての経営論です。

安い店ながらコーヒー、パン、ソーセージなどに徹底してこだわり、モーニングもビールもホットドッグも日本酒も、いつでも楽しめる、いかにも新宿らしいアナーキーなお店です。

mixiで1500名を超えるコミュニティ、署名運動の際には7000名が協力したという驚異のお店。

その熱狂的な支持がいかにして生まれたのか。その経営哲学とこだわりを綴ったのが、本書『新宿駅最後の小さなお店ベルク』です。

魅力的なメニューをいかにして作るか、どうやって個性を作るか、優秀なスタッフを集めるにはどうすればいいか…。

ビジネスのヒントが満載なのはもちろん、読み物としても楽しめる一冊です。

そして何よりも、哲学のある店長の言葉が、読者にビジネスの醍醐味と生きることの意味、そして勇気を与えてくれます。

とくに、「創造することよりも維持することの方が道は険しく~」のくだりは、こうして1400日以上、情報を発信し続けてきた土井にも励ましを与えてくれました。

そして何よりも感動したのは、「ベルクの客をやめる覚悟できました」と言いながら著者に執筆を依頼したという、編集者、稲葉さんのエピソード。

「自分はプライベートの人間関係を仕事にはしない」という編集者も多い中、この小さな名店を世に紹介しようと勇気をふりしぼった編集者に、心から拍手を送りたいと思います。

発売まではまだ間があるようですが、ぜひ読者のみなさん、ネットで予約して、話題にしてください。

こういう本が売れなければ、何のための出版業界かわからなくなってしまうと思いますから。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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確かな技術に裏づけられた「売り」や「自慢」を掛け合わせた個性
でないと、本物の個性とはいえません

飲食店の場合、その店が気を使っても、店に配達する酒屋がいい加
減なことをしたら、アウトです。だから食材のルートって大事なん
ですね。蔵から酒屋へ、酒屋から店へ。お互いがお互いに本来の美
味しさを保つためにしっかり連携するという意識がないと、ダメです

優秀な職人たちはお金では動かない

本当の接客とは、その人の不安を取りのぞいてあげることではないか

店を自分のものだと思ってはいけない

『喫茶店の開店 繁盛 儲け』は、長い間私のバイブルでした。そ
こに「喫茶店はコーヒーだ」と書かれてあったのです

通念そのものを揺さぶるのが「芸術」だとすれば、通念の枠内で人
を楽しませ、驚かせ、泣かせ、感動させるのが「娯楽」

店は長期熟成のビジネスと考えた方がいい

とにかく、その場で利用してもらえなくても、店の存在に気づいて
もらうのが先決です。ビルのオーナーから嫌みをいわれても、チカ
チカ点滅するライトを外しませんでしたし、目を引くことは一通り
やりました。品は落ちます。そりゃ上品になれるならやりたいです
が、個人店は素手で勝負するしかない

目先のお金を惜しむよりも、目の前のお客様の信用を得る方が先決

信用とは期待に応えること

商売は大胆さとケチさのバランス

長く続けるためにも、リズムが狂うのを何より恐れます。短期間で
燃えつきたくはないのです

疑うことは世の中を変える第一歩です。一人で疑うのでなく、その
疑いを誰かと共有する。そうすれば、二歩、三歩と進んでいきます

創造することよりも維持することの方が道は険しく、「何かしら荘
厳の気が漂っている」と語った人がいます。エリック・ホッファー
です。「四六時中物事を良好な状態に保つために費やされるエネル
ギーは、真の活力である」と。期待せず、だから幻滅もせず、人生
を直視しえたといわれるこのアメリカの思索者の言葉に、私は時折、
勇気づけられるのです

死ぬまで働き、死ぬまで遊び、死ぬまで語り合い、死ぬまで苦楽を
分かち合う。そういう生き方が閉ざされてしまったら、日本は絶望
の国になります

◆若いうちに武器となる4つの要素
1.未経験であること 2.同志 3.助言者 4.多額の借金

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『新宿駅最後の小さなお店ベルク』井野朋也・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4860202775
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◆目次◆

まえがき
1章 どこにもないファーストフードのお店はこうしてできた
2章 大手チェーンにできないことに価値がある
3章 本当は飲食店なんてやりたくなかった?ベルク誕生ストーリー
4章 なぜベルクをはじめたのか?
5章 個人店が生き残るには?
解説 個人店に必要なフィロソフィ 押野見喜八郎
あとがき 本当の意味での隠れ家

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