2008年5月1日

『町工場強さの理由』梅原勝彦・著

【定石を非常識なまでに行うと…】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534043694

本日の一冊は、経常利益率35%超を37年継続し、町工場でありながら上場を実現した驚異の企業、エーワン精密の創業者が、その経営の秘密を公開した注目の一冊。

決してスタイリッシュとは言えない表紙で、手に取る人がどれほどいるか疑問ではありますが、じつはこの本、すごい本です。

奇策に頼らず、あくまでビジネスの王道を行くことがどれほどすごい成果を生むのか実感させてくれるという点で、経営者は必読の一冊だと思います。

著者いわく、製造業の基本は「高品質、短納期、適正価格の三つ」。
これを愚直に実践することで、上記の成果が上げられたというのです。

しかしながら本書を読む限り、それを長期で実現するための発想や努力、勇気には並外れたものがあります。

以前、地元秋田で有限会社石垣鐵工場の社長を取材した時も感じたことですが、やはり企業を伸ばそうと思えば、経営者には先行投資をする勇気が必要なのです。

ほかにも、気持ちよく税金を払う、あえてFAXを使って受注から作業までの流れを合理化する、余計な管理を省く、いい在庫を持つ、稼働率には三割の余裕を持たせるなど、経営者を刺激する教訓・ノウハウが満載です。

見た目は地味な本ですが、堅実経営を目指す方には、ぜひおすすめしたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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製造業の基本、それは、高品質、短納期、適正価格の三つ。そして、
この三つを愚直に実践してきた結果が、町工場ではじめての上場で
あり、三七年連続、売上高経常利益率三五%超なのです

損をするような仕事はしなければいい

好況時の利益には、不況のときの「しのぎ代」も織り込んでおく

人がどれだけのことをできるかというのは、志の強さと大きさにか
かっているのであって、どれだけお金をもっているかは、実はあま
り関係ないのです

トップがとれないものはやらないというのが私の信条

減価償却費はきちんと計上し、そのうえで利益が出たら、気持よく
税金を払うべきです

世襲というのは、どこかで必ず行き詰まります

どうして納期がこれほど早いのかというと、最大の理由は、作業に
取り掛かるまでの時間にあります。当社はとにかく、注文から作業
までの時間が早い

注文伝票をファックスで送るというスタイルなら、その注文伝票を、
現場でそのまま作業指示書として使える。これが実に便利なのです

モノづくりに余計な管理は不要

稼働率には三割の余裕をもたせる

大切なのは、「これは自分の会社なのだ」という意識を、社員一人
ひとりがもっているということです。そして、会社に、社員を大事
にするという気持ちがなければ、社員は絶対にそういう気持ちには
なりません。大事にするのは簡単です。社員を信用し、隠しごとを
せず、利益が出たら誰もが納得する形で社員に還元する

仕事の責任は会社がとる、ひとりの責任は社員全員でとる

何をやれば成功するかや、儲かるビジネスモデルなどを考える前に、
自分という人間の土台を鍛え、社長が務まるだけの器をまずはつくる

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『町工場強さの理由』梅原勝彦・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534043694
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◆目次◆

はじめに
第1章 驚異の記録~37年連続売上高経常利益率35%以上
第2章 町工場こそわが人生
第3章 短納期の秘密
第4章 これが利益を出す経営だ
第5章 成功するために必要なこと
第6章 日本のモノづくり再生計画

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