2008年5月20日

『「真のリーダー」になる条件』堀紘一・著

【リーダーシップこそ普遍のスキル】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569698379

本日の一冊は、三菱商事、ハーバード・ビジネススクールを経て、ボストンコンサルティンググループの代表を務めた堀紘一さんが、リーダーシップを高めるための考え方を説いた一冊。

いまどきはリーダーになりたい人が減っているようですが、著者いわく、「リーダーシップを身に付けなければ、いつか必ず後悔する」。

その理由は、日本もアメリカや中国、インドのように格差社会が進んでおり、将来的にリーダーとそれ以外の年収格差が広がること、そしてリーダーシップこそは、「どんなにITが発達し、どんなに低賃金の労働者が増えたとしても、絶対に取って代わられることのない能力」だからだそうです。

では、そのリーダーシップはどうやって磨くことができるのか。本書では、この点に関し、興味深い視点が示されています。

いわく、「リーダーシップというものは結局、他の人が何を感じるかということに尽きる」

だから、「他の人がどういう状態に対して喜び、どういう状態に対して不愉快に思うか、これをよく理解することで、リーダーシップは確実に身に付けることができる」というのです。

具体的には、「長期と短期のトレードオフを教えてあげることで、今の状態を納得させ、より先の状態に目を向けさせる」「各人の個性や特徴を見分ける」「自分で気づかせる」など。

ほめ方や叱り方、人事評価のポイントも示されており、新人マネジャーには、手頃な一冊と言えるのではないでしょうか。

ただ、惜しむらくは、読者の魂をゆさぶるほどの強いメッセージが感じられなかったという点。

年収が高いから、ではなく、リーダーになることでどんな人間的成長が実感できるのか、そして社会的意義とは何なのか、この辺をもっと熱い情熱で語って欲しかった。

実用性も含め、やはり『課長の教科書』の方が一枚上手だと思います。

※参考:『課長の教科書』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4887596146/

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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どんなにITが発達し、どんなに低賃金の労働者が増えたとしても、
絶対に取って代わられることのない能力、それこそが「リーダーシ
ップ」なのである

何度も何度も根気強く伝え続ける。リーダーにはそんな「忍耐」も必要だ

自分ができないことを他人にやらせようと思っても、人は言うこと
を聞いてくれない

他の人がどういう状態に対して喜び、どういう状態に対して不愉快
に思うか、これをよく理解することで、リーダーシップは確実に身
に付けることができる

長期と短期のトレードオフを教えてあげることで、今の状態を納得
させ、より先の状態に目を向けさせることができる

部下がどれほどの修羅場に耐えられる人物なのか、上司は常に、観
察していなければならない

むしろ積極的に生意気を言わせて、その中からいい手を選んでしま
おうというくらいの心構えがないと、まあ、リーダーは務まらない

「君、私に反抗的だからこの部署から出て行ってくれないか」と言
うより、「君、周りの人たちから反発を受けているから、この部署
を出てくれないか」と言うほうが伝えやすい

叱る際は、基本的には個室において一対一で叱るべきだ

結果に至る「プロセス」をほめる

◆仕事の目的となる欲求
「金銭欲」「権力欲」「自己実現欲」「貢献欲」

「いかなる人も価値創造の貢献度に応じた分配を受けるのが公平」
(中略)勝てる組織を作ろうと思えば、まずはこのアリストテレス
の定義に準じた人事や評価制度を用意するのが不可欠だろう

自分が成功の喜びを知っていれば、部下の成功も心から喜べる。ま
た、自分が失敗の悔しさを噛み締めた経験があれば、失敗して落ち
込む部下の気持ちを察することもできる

下心を表に出さない上品さをもつ――。それが、運を味方に付ける
一つの要素であろう

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『「真のリーダー」になる条件』堀紘一・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569698379
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◆目次◆

初めて部下をもつ君に
1.リーダーは苦労の連続 だが、それでもリーダーを目指せ
2.リーダーにも「二極化」の時代がやってきた!
3.企業は変わりつつある そんな時代に求められるリーダー像とは?
4.リーダーシップがなければ「銀行強盗」も成功しない
5.最初に求められるのは「観察力」 まずは、部下一人ひとりの
  個性を把握せよ
6.「気づき」を引き出せば部下は進んで動き出す
7.効果的な「質問」が部下を問題解決へと向かわせる
8.「ほめる力」を身に付けろ 戦略的にほめるための四つのコツ
9.「夢を語る力」で部下の力を結集せよ
10.一二〇%の力を発揮する! チームを活性化させる方法
11.部下の魂を揺さぶるための「人間力」を身に付けろ
12.「運」を引き寄せるのもリーダーの重要な力
終章 さらに上のレベルのリーダーを目指すなら「教養」が不可欠となる

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