2008年2月9日

『ラッセル幸福論』B・ラッセル・著

【祝1300号の名著紹介】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003364937

本日の一冊は、アラン、ヒルティと並び「三大幸福論」と呼ばれる
B・ラッセルによる幸福論です。

最近、ビジネス書が不作続きだということと、1300号にふさわしい
本をということで、あえて古典名著を選びました。

本書を読んでいて感じたのは、最近流行のワーク・ライフバランス
は本当の時間配分だけの問題なのだろうか? 現代人が疲れている
のは、本当に仕事が忙しいからだけなのか? ということです。

じつは土井は、昨日から今日にかけて正直、疲れ切っていました。
出張帰りだったことや週末返上になったこと、楽しみにしていた韓
国行きの話がなくなったことも原因ではあります。

でも、大半はこの本に書いてあることを理解できなかったことが原
因だったのです。

本書には、現在売れているビジネス書に共通する「大前提」をくつ
がえす力があります。

知らず知らずにわれわれが陥っている価値観の罠、そこから脱却す
る良いきっかけになることは間違いありません。

不幸をもたらす退屈や疲れ、ねたみ、罪の意識、被害妄想からどう
やって抜け出すか。

著者、ラッセルの知性と慧眼に素直に頭が下がる、そんな一冊です。

普段から読書していても、これほどの名著にはなかなかお目にかか
れるものではありません。

もちろん久々に「買い」の一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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人間という動物は、ほかの動物と同じように、ある程度の生存競争
に適応している。だから、大きな富のおかげで、人間が努力しない
でもおのれの気まぐれを満足させられる場合は、生活に努力が不要
になったというだけで幸福の本質的な成分が奪われてしまう

将来に望みを託して、現在の意義は挙げて未来のもたらすものの中
にある、と考える習慣は有害である。部分に価値があるのでなけれ
ば、全体に価値があるはずがない

人生はコンテストであり、競争であり、そこでは優勝者のみが尊敬
を払われることになっている。こういう考え方は、感性と知性を犠
牲にして、意志のみを不当に養うという結果をもたらす

人類の罪の少なくとも半分は、退屈を恐れることに起因している

幼年時代の喜びは、主として、子供が多少の努力と創意工夫によっ
て、自分の環境から引き出すようなものでなければならない

もっと勇気があれば、心配ごとは少なくなり、したがって、疲れも
少なくなるだろう。というのも、今日、男女が苦しんでいる神経の
疲れの大部分は、意識的なあるいは無意識的な恐怖によるものだか
らである

人間の幸福を増やしたいと思う人はだれでも、賛美の念を増やし、
ねたみを減らしたいと願わなければならない

謙遜な人びとは、平生つきあっている人たちには及ばない、と信じ
こんでいる。だから、彼らは、特にねたみをいだきやすいし、また、
ねたみによって不幸になり、悪意を持つようになりやすい

◆被害妄想の適切な予防薬
1.あなたの動機は、必ずしもあなた自身で思っているほど利他的ではない
2.あなた自身の美点を過大評価してはいけない
3.あなたが自分自身に寄せているほどの大きな興味をほかの人も
  寄せてくれるものと期待してはならない
4.たいていの人は、あなたを迫害してやろうと特に思うほどあな
  たのことを考えている、などと想像してはいけない

世評というものは、世評に無関心な人びとよりも、はっきりと世
評をこわがっている人びとに対して、つねにいっそう暴虐である

シャーロック・ホームズは、ふと、通りに落ちている帽子を見つけ
て、拾いあげた。いっとき、その帽子をながめたあとで、その持ち
主は酒で身をもちくずし、妻はもう昔ほど彼を愛していない、と言
った。何げない物からこれほど豊かな興味を与えられる人にとって、
人生は退屈であるはずがない

仕事をおもしろくする主な要素は、二つある。一つは技術を行使す
ること、もう一つは建設である

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『ラッセル幸福論』B・ラッセル・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003364937
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◆目次◆

第一部 不幸の原因
第一章 何が人びとを不幸にするのか
第二章 バイロン風の不幸
第三章 競争
第四章 退屈と興奮
第五章 疲れ
第六章 ねたみ
第七章 罪の意識
第八章 被害妄想
第九章 世評に対するおびえ
第二部 幸福をもたらすもの
第十章 幸福はそれでも可能か
第十一章 熱意
第十二章 愛情
第十三章 家族
第十四章 仕事
第十五章 私心のない興味
第十六章 努力とあきらめ
第十七章 幸福な人
訳注
解説

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