2008年2月7日

『ウェブ国産力』佐々木俊尚・著

【ウェブビジネスのこれからの可能性】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4756150950

本日の一冊は、毎日新聞、月刊アスキーなどを経て、フリージャー
ナリストに転身、ベストセラー『グーグル Google 既存のビジネス
を破壊する』の著者としても有名な佐々木俊尚さんが、日本企業の
ウェブ開発力を徹底リサーチした一冊です。

※参考:『グーグル Google 既存のビジネスを破壊する』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4166605011/

2ちゃんねる用検索エンジンからはじまった未来検索ブラジルの試
みやNTTドコモの「マイ・ライフ・アシストサービス」、最先端
のテキストマイニング技術など、ウェブビジネス、技術の最新動向
を紹介しており、じつにためになります。

登場する会社、技術は玉石混交であり、はたから見ても将来性のな
いものがいくつか含まれていますが、ビジネスパーソンが最新動向
をアップデートするには適した一冊です。

単に最先端の試みを紹介するだけにとどまらず、著者の視点から、
それぞれの分野にどんなビジネスチャンスがあるのか解説している
のが特徴。

読むたびにビジネスアイデアが湧いてくる、そんなエキサイティン
グな一冊です。

ドッグイヤーともマウスイヤーとも呼ばれるITの世界では、既存
のビジネスモデルが陳腐化するのは、時間の問題。

気がついたら恐竜になっていた、ということのないように、ぜひ読
んでおきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆コモディティ化した分野の新規参入は難しい
1.他の商品より価格が安い
2.「この商品に慣れてるからこれを使おう」という習慣性
3.「店頭の目立つところにあるから買ってみよう」というとっつきやすさ
4.「こんな特典が付いている」「こんなサービスが利用できる」
  という付加価値

「いまの検索エンジンはサービスの中身はブラックボックス化され
ていて、ユーザーの情報も全部サーバサイドにあるわけでしょう。
それをサーバ側とユーザー側に分散させて、どの情報をサーバー側
に送るのかをいろいろ選べるようにすればいい」(未来検索ブラジ
ル・検索技術の開発責任者・森田中人)

ケータイはGPSとおサイフケータイを搭載したパーソナルなツー
ルであり、個人の行動をすべて把握することができる可能性を秘め
ている(中略)プライベートな情報に関しては、パソコンよりも集
積度が高いのだ

ライフログをもとにすれば、検索エンジンはより高度化できる

おサイフケータイには「トルカ(ToruCa)」という機能もあり、ト
ルカの読み取り機にケータイをかざすと、店舗や地域の情報などを
ケータイのメモリの中の「トルカフォルダ」に書き込むことができる

「われわれはアマゾンよりも高いレベルのレコメンデーションを狙
っているんです。アマゾンのように書籍やCDなどの購買履歴だけ
でなく、もっと行動を幅広く捉えられないかと考えています」
(NTTドコモ・モバイルデザイン推進室担当部長・佐藤一夫)

検索エンジンそのものではなく、検索エンジンによって得られたデ
ータをマイニングする――こうしたマイニングビジネスの方向性は、
きわめて大きな市場となっていく可能性をはらんでいる

店長日誌というテキストデータと、POSという数値データをつき
あわせると、そこで初めて「花火大会の日に弁当の売り上げが増え
ていた」という価値のある分析結果が得られることになる

人間のからだの情報も、検索システムのフィールドとして大きな可
能性を持っている

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『ウェブ国産力』佐々木俊尚・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4756150950
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◆目次◆

はじめに
第一章 未来検索ブラジルはグーグルの夢を「見ない」
――ベンチャー企業が創る新発想の国産検索エンジン
第二章 持ち運ぶ「ライフログ」端末、ニッポンのケータイ
――「ガラパゴスケータイ」が新たなプライバシービジネスを生む
第三章 ブログ検索でマーケティングが一変する
――検索そのものではなく、検索から得られたデータを解析するビジネス
第四章 「気づき」を与えるアーキテクチャー
――事故につながりそうな要因を検索、解析して対策を作り出すシステム
第五章 リアル世界とインターネットをつなげるウェブ国産力
――災害や健康管理をデータ化するP2Pの可能性
第六章 情報大航海プロジェクトを推進する男
――彼は何を追い求めているのか
第七章 ウェブ国産力が世界を制するために
――立ちはだかる三つのハードルを超えて
エピローグ
あとがき
引用文献

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