2008年1月13日

『水戦争―水資源争奪の最終戦争が始まった』柴田明夫・著

【原油よりもこっちの方が大問題?】
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以前、ジャッキー・チェンマニアの妻と一緒に、『タキシード』という映画を観ました。

※参考:『タキシード』
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ジャッキー映画としては賛否両論真っ二つに分かれた作品だったよ
うですが、この話の中に、世界中の水を汚染させてミネラルウォー
ターを売ろうとする黒いビジネスの話が出てきて、水の大切さを再
認識させられた記憶があります。

本書は、その大切な水資源が現在危機に瀕しているという衝撃のレ
ポート。とくに、現在台頭しているアジアでの水不足は深刻らしく、
本書でも度々コメントされています。

著者いわく、「食糧自給率が極端に低い我が国にとって、世界の水
不足は実は深刻な問題」。

というのは、われわれは食糧の多くを輸入に頼っていますが、それ
らを育てるのには本来、大量の水が必要だからです。

こういった危機管理面の話もおもしろいですが、世界の水マーケッ
トを牛耳る「ウォーターバロン」の話や水処理関連技術で有望な日
本企業の話など、ビジネス的にも興味深い話が満載です。

環境ビジネスや、深刻化するエネルギー市場の話に興味のある人は、
ぜひ読んでみてください。きっと問題の本質が見えてくるはずです。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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今後、水紛争が頻発しそうな地域はどこか。水資源の使用量が世界
の他の地域と比べて圧倒的に高く、しかも使用量が急増しているア
ジア地域であろう

人間が利用しやすい河川や湖沼の水は地球の淡水の0.3%

灌漑のための水の大半は地下水を汲み上げることで供給されるが、
その結果、世界中で地下水の水位の低下や枯渇が懸念されるように
なっている

地球温暖化が進めば、今世紀中に氷河や積雪などに貯蔵された水が
減少するため、これらの利用可能水量も減少する

世界平均の1人1日当たりの生活用水使用量は約170リットルと
されるが、量は国によって大きく異なり、米国では約500リット
ル、日本は230リットル、中国やタイでは約50リットルだ。こ
のうち人間が1日に飲む水の量はせいぜい2~3リットルに過ぎない

あまり知られていない事実だが、世界には「ウォーターバロン(水
男爵)」と称される圧倒的な力を持つ3社の水企業が存在する。フ
ランスのスエズ社、ヴィヴェンディ社、およびドイツのRWE社が
保有するイギリス本拠のテームズ・ウォーター社だ

日本の工業用水の使用量は、1965年179億トンから2001
年の540億トンへと3倍に拡大したものの、補給水量(新たに工
業用水道、地下水、河川水などから採り入れる水量)は114億ト
ンから116億トンとほとんど増えていない。これは、再処理した
水の量が65億トンから424億トンと6.5倍も拡大しているた
めである

水処理関連プラント建設では代表的な企業に、オルガノや栗田工業、
ササクラ、荏原などがある

さまざまな資源はいまや市場で安価に調達できる「市況商品」では
なく、資源国が自国の利益のため政治的に利用する「戦略物資」の
性格を強めている

注意しなければならないのは、ここ数年、世界の穀物の期末在庫率
が急速に低下しているという事実である。在庫が薄いということは、
それだけ国際穀物市場が異常気象や水不足やBSEや鳥インフルエ
ンザなどの感染症といった突発的な事態による需給の変動に敏感に
なっており、価格の上昇が起きやすい状態にあることを示している

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『水戦争―水資源争奪の最終戦争が始まった』柴田明夫・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4827550190
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◆目次◆

はじめに
序 章 世界各地で起こっている水資源戦争
第1章 枯渇の危機に瀕する水資源
第2章 地球温暖化がもたらす水と食糧の危機
第3章 巨大な利権とビジネスが動かす水
第4章 資源大量消費時代の到来
第5章 穀物をめぐる3つの争奪戦と穀物メジャーの戦略
第6章 水の超大量消費国・日本はどうすべきか
あとがき ~世界からミツバチが消える日~

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