2008年1月11日

『最前線のリーダーシップ』

【ハーバード・ケネディスクールが教える人心掌握術】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/490324170X

本日の一冊は、数多くの世界的リーダーを輩出してきたハーバード・ケネディスクールのなかでも圧倒的人気を誇る、ロナルド・ハイフェッツ教授が、そのリーダーシップ論の要諦を明かした一冊。

世の中に人心掌握の技術や人間心理について書いた本は山ほどありますが、本書は大勢の人間の心をどうとらえるかを述べた点で、類書とは一線を画しています。

リーダーシップを発揮するとき、リーダーは危険にさらされる。に
もかかわらず「それと引き換えに提供できるものは『将来の可能性』
以外に何もない」というリーダーシップの本質論にはじまり、「建
設的に熱気と緊迫感を高める方法」、人に喪失を受容させる技術な
ど、人の上に立つ人には必読の内容が目白押しです。

また、大学教授が書いた本にしては、リーダーの心の内面にまで踏
み込んでおり、自身の心や欲望にどう対処するか、というリーダー
が人に相談できない内容まで詳しく書かれています。

本書を読めば、なぜ華々しくデビューしたリーダーたちが失脚して
しまうのか、その理由とメカニズムを学ぶことができます。

また、158ページで示された「熱気のコントロールの仕方」――
「温度を上げる」「温度を下げる」は、リーダーにとって必読のテ
クニック論となりそうです。

数多くのリーダーシップ本を読んでいますが、これはかなり斬新な
切り口の本だと思います。

経営者、政治家に限らず、これからひとかどの人物になろうとする
人は、ぜひ読むことをおすすめします。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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リーダーシップを発揮するということは、危険な生き方をするとい
うことである。なぜなら、リーダーシップが重要になるとき、あな
たは人々に大きな変化をもたらそうとしなければならず、人々が大
切に思っているもの――毎日の習慣、手段、帰属心、考え方――に
挑戦しなければならず、それと引き換えに提供できるものは「将来
の可能性」以外に何もないからだ

人は変化それ自体に抵抗するのではない。本質的には、人は何かを
失うことに対して抵抗するのだ。あなたが人々の価値観や信念、長
く生活に根ざした習慣を問い直そうとすれば、人々はあなたを危険
視するだろう。相手が聞きたいことではなく、聞かなければならな
いことを告げる者は、自らを危険にさらすことになる

人々の話に耳を傾けることは、人々の話すことを額面どおりに受け
とることではない。人は多くの場合、無意識のうちに自分自身の持
つ癖や考え方を守ろうとし、自分の価値観にかかわる難しい選択を
拒もうとする傾向がある。そのため、人々の話を聞いた後に、その
話の奥にあるものを解釈するという、ある意味、挑発的な行動に出
る必要がある

組織、社会に変化をもたらすためには、あなた自身の属する集団、
あなたの支持者、あなたを強く信じている人々の枠を超えて動かな
ければならない。協力関係を効果的に活用するためには、協力者の
他のグループとのつながりを認識しておく必要がある

思いやりという意味でも、生き残り計画を成功させるための戦略と
いう意味でも、反対する人々に対してより多くの注意を払うべき

人々は理由がはっきりしているのであれば、犠牲をいとわない(中略)
だからこそ、なぜ犠牲を払わなければならないのか、なぜ喪失を受
け入れ自分たちの忠誠や愛着の気持ちを裏切らなければならないの
かについて、あらゆる手段で伝えることが決定的に重要なのだ

建設的に熱気と緊迫感を高める方法は2つある。1つは、難しい問
題に目を向けさせ、そこに人々を集中させることである。もう1つ
は、その問題に取り組むことの重要性、責任の重さを人々に感じて
もらうことである

自己防衛的にならずに人々の怒りを受け止めれば、信頼が生まれる

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『最前線のリーダーシップ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/490324170X
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◆目次◆

序章 リーダーシップはリスクに見合うだけの価値がある
第1部 リーダーシップには危険がいっぱい
第1章 危険の本質とは
第2章 迫りくる4つのリスク
第2部 リーダーシップを発揮しながら生き延びる5つの方法
第3章 全体像をつかむ 方法1
第4章 政治的に考える 方法2
第5章 衝突を指揮する 方法3
第6章 当事者に作業を投げ返す 方法4
第7章 攻撃を受けても踏みとどまる 方法5
第3部 リーダーシップの原点、心を見つめる
第8章 渇望をコントロールする
第9章 自分自身をつなぎ止める
第10章 原動力を把握する
第11章 神聖な心を保つ
訳者あとがき
原注

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