2007年1月3日

『詩学』

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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003360494

本日ご紹介する一冊は、古代ギリシアの偉人、アリストテレスによる、不朽の名著です。

ホメロスの詩やギリシア悲劇・喜劇を対象に分析を行い、文学理論としての普遍性を持つにいたった作品で、文学にかかわらず、およそ表現をする人には、必読の一冊といっていいでしょう。

人を感動させるために必要な条件とは何か、登場人物に求められる条件とは何か、登場人物の性格はいかにして表現すべきかなど、さまざまな点に言及しており、その内容は今でも輝きを失っていません。

下手な文章術の本と比べても、よほど有用性がある内容で、このガイドラインは、表現者必修の内容と思われます。

とくに、「性格とは、登場人物が(何を)選び、(何を)避けるかが明らかでない場合に、その人物がどのような選択をするかを明らかにするもの」などといった見解は、今でもストーリーの作り手に伝えられている内容であり、まさに表現技法の原典と呼ぶにふさわしい一冊です。

書き手としての一年は、この一冊からスタートしてみてはいかがでしょうか。もちろん「買い」の一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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再現をする者は行為する人間を再現するのであるから、これらの行
為する人々はすぐれた人間であるか、それとも劣った人間でなけれ
ばならない。――というのは、人間の性格はたいていの場合この二
つの性質のいずれかに相当するからである

行為する人々は、わたしたちよりすぐれた人間か、より劣った人間
か、あるいはわたしたちのような人間であるか、のいずれかである

詩作は、作者固有の性格にしたがって二つにわかれた。すなわち比
較的まじめな性格の作者たちは立派な行為、すぐれた人間の行為を
再現したが、割合軽い性格の作者たちは劣った人間の行為を再現し
た。前者が讃歌と頒歌をつくったのにたいし、後者ははじめ諷刺詩
をつくったのである

行為には、おのずから思想と性格という二つの原因がある――そし
てすべての人々は、このような行為に応じて、成功したり失敗したりする

すべての悲劇は必ず六つの構成要素をもつのであり、これらの要素
によって悲劇の性質が決まることになる。これらの要素とは、筋、
性格、語法、思想、視覚的装飾、歌曲、である

人々は、たしかに性格によってその性質が決定されるが、幸福であ
るかその反対であるかは、行為によって決定される

性格とは、登場人物が(何を)選び、(何を)避けるかが明らかで
ない場合に、その人物がどのような選択をするかを明らかにするもの

詩人(作者)の仕事は、すでに起こったことを語ることではなく、
起こりうることを、すなわち、ありそうな仕方で、あるいは必然的
な仕方で起こる可能性のあることを、語ることである

あわれみは、不幸に値しないにもかかわらず不幸におちいる人にた
いして起こるのであり、おそれは、わたしたちに似た人が不幸にな
るときに生じる

とりわけもっとも重要なのは、比喩をつくる才能をもつことである。
これだけは、他人から学ぶことができないものであり、生来の能力
を示すしるしにほかならない。なぜなら、すぐれた比喩をつくるこ
とは、類似を見てとることであるから

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『詩学』
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■目次■

※多すぎるので省略します

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