2006年12月5日

『このブランドに、いくらまで払うのか』

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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532313015

本日の一冊は、米MBAのトップ校、ウォートンスクールを卒業し、現在、横浜国立大学で消費者心理と価格の問題を研究している著者が、その研究成果を明かした、注目の一冊。

最新のブランド調査を通じて、人がブランドにいくらまで払えるのか、何がモノの値段に影響を与えているのかを明らかにしており、じつに興味深い内容です。

本書によれば、消費者がブランドに支払う価格は、じつにさまざまな心理的要因に左右されています。

消費者が持っている知識や、自分のなかで参考値となる「内的参照価格」、顕示欲や自己満足、優越感…。

本書を読んでこれらの要因を研究すれば、どうやって消費者に高いお金を払わせることができるのか、またどうすれば相場を崩さずに値引くことができるのか、重要なヒントが得られます。

若干数字や分析が多いのが気になるかもしれませんが、文章自体はじつに読みやすいです。

マーケティングに携わる方、嗜好品を扱っている方は、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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十分な知識がなければ、「高いものは良いものである」という推論
が働き、高価格製品を選択しておけば安心という考えが働くが、知
識があればそのような推論は必要なく、自分の判断で購買できる

消費者は製品を購買しそれを使用した後にも、選択したブランドの
品質や性能を評価したり、また、選択しなかったブランドについて
考えたりしながら、自分の購買意思決定が正しかったのかどうかを
分析する

消費者は製品を品質や価格などの製品属性以外の理由で選択するこ
ともある。それは製品の購買や使用が自己表現、自己満足、優越感
など主観性の高い評価につながる場合である

消費者による価格評価は内的参照価格を基準としており、価格が内
的参照価格よりも高いときには割高感が、反対に低いときには割安
感が生じる

消費者は割安感よりも割高感に強く反応する

内的参照価格は、消費者が観察してきた価格が高ければ高く、低け
れば低くなることがわかっている

同じものを自分自身のために買うのと家族や他人のために買うのと
では、内的参照価格は異なることがある

キャッシュバックは、購入時点では通常価格で支払う上に、特典を
得るまでに時間がかかるため、内的参照価格に与える影響は小さい

効果的な値引きの理由としては、「記念日」がよいと思われる

一〇代の若者がブランド名を重視する製品は、下着、シャンプー、
文房具などの顕示性の低い製品よりも、スニーカー、ラジオ、CD
プレーヤーなどの顕示性の高い製品であることを示している

みっともなさは自動車よりもファッション商品で強く意識される要素

顕示性は価格プレミアムと強く関連する

ブランド・パーソナリティでは、感情型製品ではエレガンス、素朴、
スタイル、独創性など外見に関するものが、思考型製品では責任感、
決断力、忍耐力、自由、信頼、権威など企業姿勢に関連するものが高い

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『このブランドに、いくらまで払うのか』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532313015
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■目次■

第1章 「二極化する消費」の時代
第2章 消費者はどのように価格を評価するのか
第3章 なぜ高くてもブランド品を買う人がいるのか
第4章 消費者はブランドのどこに価値を見出すのか
第5章 支払い価値はブランドによって異なるのか
第6章 支払い価値はノンプレミアム・ブランドではどのくらい異なるか
第7章 支払い価値はベネフィット・レベルではどうなるか
第8章 価格プレミアムとプライシング

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