2006年9月19日

『P.F.ドラッカー経営論』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478307024

本日の一冊は、先日亡くなったマネジメントの巨人、P・F・ドラ
ッカーの論文を全部で34本まとめた、完全保存版です。

1950年に「Harvard Business Review」に初めて寄稿した「経営者
の使命」から、最後の寄稿となった2004年の「プロフェッショナル
・マネジャーの行動原理」までが収められた、計800ページ弱にお
よぶ大著。

「ドラッカーへの感謝と追悼」として、堺屋太一氏、中村邦夫氏、
野中郁次郎氏のコメントが添えられているのが何とも豪華です。

改めて読んで驚くのは、やはりドラッカーの先見性と本質をとらえ
た言葉の数々。

まさに日本が今日直面している高齢化の問題や、企業のマネジメン
トの課題が、既に数十年前に記されているのです。

ドラッカーは、これらすべての問題に答えを与えてはいませんが、
貴重な疑問を投げかけています。

これらの疑問こそが、マネジメントの課題を解決する糸口であり、
後世のわれわれに遺された研究テーマなのではないでしょうか。

そういう意味では、学者はもちろんですが、マネジメントを通じて
成果を求められている経営者こそが読むべき一冊でしょう。

資料として価値があるのはもちろんですが、何といっても装丁が本
格的でカッコいい。本棚にあるとちょっと自慢できそうです。

希少本になる前に、とりあえず買っておきたい一冊ですね。

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■ 本日の赤ペンチェック
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企業には、またいかなる組織体においても、本当の資源は一つしか
ない。それは人間である

社会的組織は存在自体が目的ではない。組織は社会の機関である。
外部の環境に対する貢献が目的である。この点で営利・非営利を問わない

必要なのは、企業内でマネジメント体験を得る機会をシステマチッ
クに創出することである

知識豊富なプロフェッショナル・リーダー、そして現在と未来の生
産性の拠り所となるベテラン現場監督者という人的資源の供給に打
撃を与えることなく、軍隊のために優秀な若者を確保するにはどう
すればよいのだろうか

いかなる指導的グループも常に、美徳、つまり道徳的価値と業績で
判断される。そして、これらの特性に、指導的グループそのもの、
そしてこれらのグループが代表する社会のすべてがかかっている

組織の目的は、均整や調和、一貫性ではなく、人間のエネルギーの
解放と動員であることはいまや明らかである

競争に勝つための四つの慣行あるいはルール――競争力を重視する
こと、国益を第一に考えること、外部との関係に重きを置くこと、
共存しなければならない敵に対しては決定的な勝利を収めないよう
にすること

情報化組織の成功のカギは、全員が、組織内のだれが、どのような
情報を自分に依存しているか、逆に、自分は情報をだれに依存して
いるかを考えることにある

マネジメントとは、人間に関わることである。その機能は、共同し
て成果を上げることを可能にすることである。強みを発揮させ、弱
みを意味のないものにすることである

情報化時代にあっては、あらゆる会社が、学ぶ組織にならなければ
ならないといわれている。しかし同時に、教える組織にもならなけ
ればならない

有能さとは修練の賜物である。そして、いかなる修練もそうである
ように、有能さは学習することができるものであり、必ず身につけ
なければならないものなのだ

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『P.F.ドラッカー経営論』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478307024
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■目次■

第1部 一九五〇年代
第2部 一九六〇年代
第3部 一九七〇年代
第4部 一九八〇年代
第5部 一九九〇年代
第6部 二〇〇〇年代
補遺 アメリカ社会のダイナミズム(討論会)

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