2006年9月30日

『ビームスの奇跡』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4418066020

本日の一冊は、創業以来30年間、ほぼ右肩上がりの成長を続け、売
上数百万円から400億円へと奇跡の成長を遂げた企業、ビームスの
秘密に迫った一冊です。

ファッション雑誌やモノ雑誌などを中心に執筆をしているライター
が取材をしてまとめたもので、ビジネス書としては突っ込み足りな
い部分もありますが、反対にファッションのことは詳しく書かれて
います。

ビームスの特長や過去の施策を、具体的なアイテムを挙げながら解
説しているのは、ファッションに詳しい著者の面目躍如といったと
ころです。

ビジネス的な視点から見ても、なぜビームスが流行の最先端を走り
続けられるのか、なぜ個性の強いバイヤーたちが高いモチベーショ
ンを保ち続けられるのか、なぜ主要スタッフが抜けた後も危機を乗
り越えられたのかなど、参考になる部分が多数あります。

さらに、最近の動向のようですが、他業種とのコラボレーションの
様子も、今後の大競争時代を読み解く上でのヒントになります。

ファッション業界を含め、流行に左右されやすい商売をやってらっ
しゃる方には、ぜひ読んでもらいたい一冊です。

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■ 本日の赤ペンチェック
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ビームスは、よく動物園にたとえられる。それは、開放的な社風を
背景に、個性的な社員たちが、いい意味で伸び伸びと、悪く言えば
好き勝手に、まるで放し飼いのサファリパークの動物のように仕事
をしているイメージがあるからだ

ビームスには、洋服以外で、やたらサブカルチャーに詳しかったり、
筆記具に詳しかったり、音楽に詳しかったり、デザインに詳しかっ
たり、電化製品に詳しかったり、自転車の部品に詳しかったりする
スタッフが極めて多い(中略)彼らのうちの何人かは、サラリーマ
ンがどうやって工面しているんだろうと、こちらが余計な心配をし
たくなるくらい、その得意分野での身銭の切り方がハンパじゃない
者もいる

あるインポーターから聞いた話だが、ビームスのバイヤーは、新し
いものに反応するスピードが非常に早いのだそうだ。つまり、予定
外の出物があると、他のバイヤーだと「一旦、持ち帰って上司と相
談させてください」、あるいは、「今季の予算の使い道は決まって
しまっているので、来季に検討させてください」、というケースで
も、ビームスのバイヤーは本当にいいと思ったら即決してオーダー
してくれるというのだ。結果、どこよりも早く店にその商品が並ぶ
ということにそれが繋がるとすれば、それはスピード感が求められ
るセレクトショップには大きなアドバンテージになる

表通りからちょっと外れた出店パターンと、保守本流ではなく時代
の気分を半歩先取りするセレクトはその後、ビームスの成功を語る
うえで、欠かせない戦術のひとつになっていく

「もちろん、服は好きですよ。お洒落するのも楽しい。流行にも人
一倍敏感な方だと思います。ただ、僕は本質的には、モノよりコト
の方に興味がある」(設楽洋 代表取締役社長)

様々な異業種が、ビームスとならなにか面白い「コト」ができるに
違いないという期待感を生み、呼び水となって、ここ数年は、クル
マ業界、家電業界、インテリア業界、音楽業界などから、様々な案
件が設楽のところに持ち込まれ、その対応に追われるという事態に
発展している

「他人のマネ、後追いをしても悔いが残るだけだ。これからは、自
分の勘を信じよう。売れるとか売れてるじゃなく、自分がいいと思
える新しい才能を自分の目だけを頼りに、買い付けよう。それで、
ダメなら、自分の力量がなかったと諦め、潔く辞めればいいじゃな
いか」(カリスマバイヤー 南馬越一義)

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『ビームスの奇跡』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4418066020
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■目次■

第1章 感覚派社長の嗅覚が道を拓く 個性派集団を率いる社長のしたたかな「柔腕」
第2章 ヨソと違うことをやり続けた日々 ビームスの軌跡
第3章 存亡の危機をチャンスに変えた 封印されてきた、事件の真相を聞く
第4章 店、モノ作り、それを支える個性派のタレントたち ビームスセオリーの研究
第5章 人をワクワクさせるのが趣味で仕事 ミスタービームス設楽洋という男
第6章 未来に向けて、打たれた布石 25周年を契機に動き出した改革の中身

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