http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4837921957
本日の一冊は、ホンダの開発現場で本田宗一郎の薫陶を受け、自称
「一番叱られた男」である著者が、本田の言葉とその意味するとこ
ろを説いた、注目の一冊です。
誰にでもわかる巧みな比喩を用い、経営やモノづくりにおいて大切
な心構えを教えた本田宗一郎。
その天才的な洞察力と徹底した人間愛、そして現場への叱咤激励の
様子が伝わってくる、秀逸なドキュメントです。
著者は終始、本田宗一郎の慧眼に賛辞を送っていますが、実際にホ
ンダの成功を支えたのは、その教えを真摯に受け止め、根気強く開
発に取り組んだスタッフだったのだと思います。
その証拠に、著者は、本田宗一郎の感覚的な教えの意味を自分なり
に読み解き、ディテールのデザインを完成。結果、「シビック」や
「アコード」などの大ヒット商品を生み出しました。
ちょっとしたアイデアや教訓をどうやって実行レベルにまで落とし
込むか。現場の知恵や工夫が伺い知れる、興味深い内容です。
強い組織とはどうあるべきか、そして一個人として、どう仕事に取
り組むべきか。大切な心構えを教えていただいた気がします。
人間関係が希薄になり、叱ること自体がタブーとなりつつある現在、
叱ること、叱られることの効用を説いた本書は、まさに悩める現場
の処方箋として読まれるべき一冊。
とくに、モノづくり、人づくりに携わる方には、ぜひ読んでいただ
きたい一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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「叱る人」がいることは幸せだ。なぜなら、叱られることで、自分
がわからないことを知ることができる。そして、なぜ叱られたのか
を追求することで、叱った人が考えていたことがわかり、そのレベ
ルに近づけるのである
君たちは、腹が減って死にそうな人に、「すき焼きの肉を買いに行
きます」なんて言うのか!(本田)
高級な生活をしていないから、高級品がつくれない? じゃあ聞く
が、信長や秀吉の鎧兜や陣羽織は誰がつくったんだ?(本田)
お客さまは、自分が手に入れた車が立派で高価そうに見えることを
望んでいる(中略)デザインは、お客さまが何を望んでいるのか、
が出発点でなければならない
本田さんは人を喜ばせて喜んでいる。私が本田さんに怒られるのは、
私だけが喜ぶものをつくっているときだ
「人間が見て不安に感じるもの」をつくっちゃいけないんだ!(本田)
何をしたらいいのかわからない――そんなときは、「自分がこうし
てもらいたい」ということを見つけることだ
「大きさ」や「深さ」という数字だけでやりとりしていた間、まっ
たく無理と相手にしなかった専門家が、やる気をみなぎらせたのだ。
それは、「鷹の顔」というイメージを共有できたからである
君は自分のクソをしていない。何を食ってもいい。しかし、自分の
クソをしろ(本田)
目標が低ければ、私たちの感度は低くなる
「無理が通れば道理が引っ込む」という。本当は無理を通せば特徴
が出るのだ。そして幸せなことに、無理を通そうとするとき、本田
さんはいつも私たちに「夢」を与えてくれた。生きがい、やりがい
を与えてくれた
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『本田宗一郎に一番叱られた男の本田語録』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4837921957
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■目次■
1章 仕事には「哲学」が必要だ
2章 「見ていて飽きないもの」をつくれ
3章 本当にそういうことをしたいと思っているのか
4章 自分が感動できないものは、人を感動させられない
5章 一歩先でなく半歩先
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