2006年7月30日

『新ハーバード流交渉術』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062134411

本日の一冊は、「交渉のハーバード」でもとくに有名なロジャー・
フィッシャー教授が、交渉の心理学を専門とするダニエル・シャピ
ロさんと共著で出した、注目の論考です。

名著『ハーバード流交渉術』に欠けていたとされる、「感情」の部
分を補う目的で書かれた補論的な位置づけの本です。

※参考:『ハーバード流交渉術』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4484981017

本書の中核となるのは、人間なら誰もが持つ、「価値理解」「つな
がり」「自立性」「ステータス」「役割」という、「5つの核心的
な欲求」。

これを踏まえた上で、どうやって交渉を進めていけばよいか、具体
的なアドバイスがなされています。

カーター大統領とサダト大統領の交渉、エクアドル大統領とペルー
との国境紛争に関する交渉などを指導した著者だけに、内容は実践
的で、役に立ちます。

欲を言えば、エピソードが「感情」というテーマにふさわしい表現
になっていれば、もっと良かったと思いますが、全体としてはうま
くまとまっており、理論を学ぶには適した一冊です。

営業力やコミュニケーション力の向上に、対人関係の改善に、ぜひ
役立ててください。

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■ 本日の赤ペンチェック
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自分や相手に生じる感情そのものにこだわるよりも、これらの感情
が生まれる原因に注目した方がよい

よくも悪くも、五つの核心的な欲求が原因で、交渉中に多くの感情
が生じることになる。これら五つの核心的な欲求というのは、価値
理解、つながり、自立性、ステータス、そして役割である

◆価値理解の障害となるもの
1.相手がどのように考えているかを理解しようとしないこと
2.相手と意見が一致しない場合、相手の言動の持つ価値に対して
  も否定的になってしまうことが多いこと
3.相手の考えや思い、そして行動の中に発見した価値を、相手に
  伝えないこと

非難はしない方がよい。非難すれば、相手は構えて頑なになってしまう

怒りを前向きなメッセージの一部として伝えるべきである。あなた
が相手に怒りをあらわにしているのは、将来のやりとりを改善する
ためだということを理解してもらうのだ

ベンジャミン・フランクリンは、頼み事をするのは二人の間につな
がりを作るのに一役買うと書いている。しかも、相手から頼まれて
何かをするよりも、相手に頼み事をする方がよいとしている

リスクの一番低い会話は個人間の隔たりを縮めるという点において
は、もっとも役に立たないものである

ステータスがあれば尊重され影響力が大きくなる

高い社会的ステータスや特定ステータスを持つ人物の意見は、その
ステータスとは関係のない事柄についての意見であっても、必要以
上に重視されてしまう

相手が演じている一時的な役割の重要性を理解しよう

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『新ハーバード流交渉術』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062134411
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■目次■

1.感情と交渉
2.率先して行動しよう
3.追加の実践的なアドバイス
4.結論
5.付録

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