2006年5月27日

『経済論文の書き方』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492313621

本日の一冊は、ロチェスター大学の教授で、多くの日本人学生を指
導しているウィリアム・トムソンさんが、経済論文の書き方のノウ
ハウと心構えをまとめたものです。

ほとんどの方は、大学を卒業してから論文など書く機会はないかも
しれませんが、正式な書き方を知っておけば、自分が何か専門分野
で書かなければならなくなったとき、役に立ちます。

とくに、「実業界を卒業したら大学の講師に」などと考えている方
は、ぜひ一度学んでおくと良いでしょう。

あくまで経済論文の書き方に特化した本であり、それゆえ数式など
も多数出てきますが、文章の基本、書き方の基本という意味では、
一般の方にも得られるところが多い本です。

また、研究成果の口頭発表に関するアドバイスもあるので、学会に
参加する方は参考に読んでおくといいでしょう。

惜しむらくは、翻訳がわかりにくいこと。もっとスムーズな訳文に
なっていれば、いい本になったと思います。

専門分野での執筆を考えている方は、読んでみてはいかがでしょうか。

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■ 本日の赤ペンチェック
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明瞭さを第1の目標において、それを何としてでも実現する

読み手の理解を助けるのは、詳細な説明ではなく、こうした問題の
核心が何かということなのです

自分の仮定が関連先行研究におけるものとどう異なり、どうしてそ
うした仮定が考え方だけでなく手法的にも重要な違いなのかを説明
しましょう

論文のタイトルはできるだけ内容がわかるようなものにしなければ
なりません

先行研究を概観するときには、先行研究を単に列挙するだけではい
けません。論文の主題に関わる先行研究の歴史をくどくどと説明す
るのではなく、それにかかわるアイデアがこれまでどのように発展
してきたかを優先させましょう

何でもかんでも強調しようとすれば、結局何も強調されません

意味がすぐに推測できる記号がもっともいい記号

読み手が自分の用語や定義をわかっていると考えてはいけない

同一の概念に異なる用語・表現を用いないこと

モデルは分析道具であって、現実ではありません。モデルの特定化
方法は、研究しようとする興味対象としての現象に依存します。で
すから、導いた結論から現実の世界について結論を引き出してわれ
を忘れるようであってはいけません

仮定は妥当性や一般性の高い順に述べること

証明のステップを省きすぎると、読み手に読んでもらえなくなります

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『経済論文の書き方』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492313621
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■目次■

第1章 論文はどう書くか
第2章 研究成果の発表
第3章 審査報告の書き方

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