http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532111064
本日の一冊は、緑茶飲料マーケットを席巻した1千億円ブランド、
サントリー「伊右衛門」の開発物語をまとめたものです。
本木雅弘扮する伊右衛門と、その妻を演じる宮沢りえのCMで一躍
有名になった「伊右衛門」ですが、その道のりは決して順調なもの
ではありませんでした。
かつてプーアール茶でサントリー史上最悪の失敗をおかし、開発者
としてどん底を味わった沖中、デザイナーとして3度の失敗を重ね
た水口、研究者になる前はペットボトルの緑茶飲料を飲んだことが
なかったという牧…。
この3人が、一時は断られた老舗茶舗との提携話を成立させ、「伊
右衛門」伝説を創りあげるまでの過程が、本書の最大の読みどころで
す。
小細工せずにあえてど真ん中を行った開発コンセプト、そしてそれ
を実現するまでの各人の思い…。ドラマ的な盛り上がりはいまいち
ですが、開発現場の様子をイメージして読めば、なかなか感動的です。
「開発に失敗するということは、開発者の財産が増えること」――。
新商品開発や企画・プロデュースといった仕事に携わる人には、き
っと励みとなる一冊に違いありません。
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■ 本日の赤ペンチェック
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すべてを知って、愛さなければ
商品開発をする資格などない――サントリーWay
製品の品質を守るためには「各部門で働く”ヒト”をいかにマネジ
メントするかが重要である」(沖中)
部下の仕事には”完璧主義”と”即答主義”を求めています。自分
が担当する商品について質問されたとき、開発者はすべてについて
即答してほしい。理由は至極、単純明快です。その商品なりキャン
ペーン企画に愛情をもって本気で取り組んでいるのは担当者一人な
んですよ(沖中の上司・齋藤)
商品を開発するときには、大きく分けて二つのポイントが存在しま
す。一つはどうしたらヒットの精度を高める開発を実行できるか、
もう一つはどうしたらスピードのある開発を実現するか、です(齋藤)
研究者は味の開発だけに専念しているのではなく、研究室で開発し
た味を大量生産するための生産プロセスや品質管理まで含めた開発
が求められます。いくら研究室レベルで素晴らしい味が開発できて
も、工業製品として商品化できなければ意味がありません(牧)
優秀なディレクターとは、開発メンバーと価値観を共有しながら高
い商品バリューを創造できる<コミュニケーション能力>と<創造
力>を持つこと(水口)
開発に失敗するということは、開発者の財産が増えることなんです
よ。失敗した原因を徹底的に分析して開発の腕を上げていくことで、
ヒット商品を開発する確率が高まっていく。未経験な開発者に初め
ての開発をさせるより、何回も辛酸を舐めて力を蓄えた開発者のほ
うが、成功への近道に立っている(齋藤)
企画を推進するかストップさせるかの判断を下すときは、間違いな
くストップさせるほうがイージーに決定できる。部下のチャレンジ
ングな企画を抑制させる思考法を身につけてしまうと、人間って弱
いもんですから、いつの間にか挑戦できない思考に染まってしまう(齋
藤)
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『なぜ、伊右衛門は売れたのか。』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532111064
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■目次■
第1章 お茶は工業製品じゃない。日本人の心―。
第2章 若き挑戦者たちに芽生える、ものづくりの魂。
第3章 失敗から学んだ、とても大切なこと。
第4章 本物の味を求めて、あらゆる壁を突き崩す。
第5章 すべてが響き合ったとき、メガブランドが誕生した。
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