2006年2月15日

 『正社員時代の終焉』

href=”http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822244881/businessbookm-22/ref=nosim” target=”blank”>http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822244881
本日の一冊は、リクルートワークス研究所の所長、大久保幸夫さんが書いた、注目の一冊です。

最近は、貧富の差の拡大や、個人のキャリアへの不安を煽り立てるような本が多いのですが、本書は、ワークス研究所の調査結果および公のデータに基づき、理性的に雇用の変化を論じています。

本書の記述を引用すると、「就業構造基本調査によれば、1997年に全就業者の57%であった正社員は、2002年には53%まで減少」。わずか5年間で何と約400万人の正社員が減少したそうです。

本書が主題とするのは、この変化を受け、企業の人材活用・マネジメントはどうあるべきか、という点。

そのためのツールとして、戦略価値と企業特殊性の2軸からなるマトリックスを作り、人材調達の方法と組織と人材の関係、人事管理のあり方を論じています。

また、非正社員の活用のポイント、ということで非正社員の7つのタイプを挙げ、各タイプ別のマネジメントについても論じています。

これを読んでもいいマネジメントができるとは限りませんが、少なくとも「やってはいけないこと」は明らかになると思います。

経営者、人事担当者は、ぜひ読んでみてください。
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■ 本日の赤ペンチェック
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もはや企業の内側を正社員とし、その内部の秩序を固めるという組織化の技術だけでは対応しきれない時代がやってきている

会社の指示に従って、なんでもする、どこへでも行く、どれだけでも働くという正社員モデルの働き方はおのずと、それを受け入れる人を限定する。とりわけ女性は結婚・出産という人生の重要なイベントを経験するために、そのモデルをそのまま受け入れて働き続けることはできない

キャリアについて考えることは、生涯に一度や二度のことではなく、もはや日常的なことになってきたのではないだろうか。そして企業任せではなく、自ら率先して自発的にキャリアの道を歩んでいかなければならない。これは大きな変化であろう

説明能力や、説明責任ということは、マネジメントの根幹(中略)評価を伝える、その仕事の意味を伝える、結果を知らせるなどなど、説明が必要な場面は多々あるが、正社員の場合は言わなくてもわかるという従来からの甘えが出てしまっているのかもしれない

企業特殊性の高い人材を企業が保有するためには企業特殊性を持たない人物に、そうなるよう期待しつつ長期雇用することが必要

スラック資源を持てばコストは増加するが、将来の持続的競争優位の可能性も高まる

◆パートタイマーの5つの特徴
1.自分の能力範囲を限定している
2.権限委譲がモチベーションアップにつながらないことが多い
3.非正社員は変化や不確実性に対する対応力が著しく弱い
4.非正社員は「仕事だから我慢する」という意識が非常に薄い
5.明確な業務のゴールイメージが大切

◆非正社員の7つのタイプ分類
1.理想の職場追求タイプ 2.スペシャリストタイプ
3.仕事そんなに大事じゃないタイプ 4.とりあえず就職タイプ
5.正社員疲れちゃったタイプ 6.仕事大好き頑張りやさんタイプ
7.なんとなく働きたいタイプ
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『正社員時代の終焉』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822244881
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■目次■
まえがき
第1章 揺らぐ正社員システム
第2章 増え続ける非正社員の実像
第3章 何を企業の中に残すべきか?
第4章 正社員に任せる仕事、非正社員に任せる仕事
第5章 非正社員の7類型とマネジメントの要点
第6章 業務委託の成果とリスクの管理法
第7章 ポスト正社員時代に向けて
用語解説
あとがきに代えて
参考文献
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