2006年1月30日

『本多静六自伝 体験八十五年』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4408395862
本日の一冊は、明治の大富豪であり、先に復刊した『私の財産告白』の著者、本多静六さんの最後の著作となった一冊です。

※参考:『私の財産告白』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/440839582X
本書には、著者が腕白だった少年時代から、父の死、勉学への目覚め、留学、結婚、仕事、晩年にいたるまでの軌跡とエピソード、そしてそこから得られた人生訓がつづられています。

とくに「困苦欠乏を踏み越えていく努力こそ、人生にとっては実に尊いものであるといわねばならない」という言葉は、人生のリスクに直面し、戸惑うばかりの現代人に、生きる指針と覚悟を与えてくれるものではないでしょうか。

本書にはほかにも、「幸福の6つの条件」や「成功への近道」など、さまざまな教えが散りばめられています。

エピソード、教訓ともに味わい深い、読み応えのある一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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人間というものは満ち足りた状態にあるときには、反発心も努力しようとする気も起こらないが、不足不遇の状態にあるとかえって求むる心が強くなり、奮発努力するものだ

◆下女の失敗をとがめた本多氏に大叔母が諭したこと
「人間は寛大でなければいけません。人のアラを見つけて小言をいったり、告げ口をするようでは決して出世できません。奉公人のした落度や過ちは、見ても見ぬふりでいるか、または進んで自分がその罪過ちを背負って、助けてやるくらいの心掛けがなければいけません」

◆本多氏の座右の銘
「人の短を誹らず、己の長を誇らず、恩を施しては須く忘るべく、恩を受けては忘るるなかれ、名をして実に過ぎしめず、常に謙譲を守り、俗にありて染まず、暗昧の内に光明を含め、言語飲食を節すべし」

自殺は人生最大の卑怯事であり、自暴自棄は堕落への第一歩である

人は一生のうちに一度貧乏の味を具に嘗めておくと、金や物の有難味も、人情もわかって、大いに後々のためになる。しかも貧乏の体験はなるたけ若いうちに早く済ますがよい

人生の最大幸福は家庭生活の円満と職業の道楽化にある

畢竟、幸福は各自、自分自身の努力と修養によってかち得られ、感じられるもので、ただ教育とか財産さえ与えてやればそれで達成できるというものではない

◆幸福の6つの条件
1.心身の健康 2.自分の望みが叶うこと
3.自分の働き、自身の努力によること 4.素直な心の感じ方
5.比較的、かつ進歩的であること 6.社会の希望に反しないということ

◆成功への近道
1.常に心を快活にもつ――楽天主義
2.専心その業に励む――職業の道楽化
3.功は人に譲り、責は自ら負う
4.善を称し、悪を問わず
5.好機はいやしくもこれを逸せぬこと
6.勤倹貯蓄――四分の一貯金の実行
7.人事を尽くして天命(時節)を待つ
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『本多静六自伝 体験八十五年』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4408395862
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■目次■
自序
一、少年時代
二、苦学時代
三、大学生活を語る
四、ドイツ留学
五、教授時代
六、私の家庭生活
七、人と事業
八、人生即努力、努力即幸福
解説 神田昌典
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