2005年10月7日

『ロジスティクス 経営と戦略』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/447837502X

本日の一冊は、ロジスティクスおよびサプライチェーン・マネジメントのクランフィールド経営大学院でオペレーションズやロジスティクスを専門に教える著者らが、ロジスティクスを戦略と絡めて解説したテキストです。

見た目はとても重厚な本ですが、文章は読みやすく、よくまとめられています。「ロジスティクスって何だろう?」「どんな意義があるの?」という方でも、有名企業の事例を通じて、具体的にどういうことかが理解できる、そんな内容に仕上がっています。

事例の合い間に設問が挿入されているので、問題意識を持って読み進めることが可能。テキストとして、とてもよくできています。

ロジスティクスは、ビジネス書の中でも地味でなかなか売れない分野ではありますが、ものすごく重要なトピックです。

なぜなら、どんなに良いモノを作っても、それをどんなに上手に売っても、作り手から顧客に渡るまでのプロセスに問題があれば、その製品の良さが伝わらず、お客様の満足度も上がらないからです。

起業される方やこれから本格的にビジネスを動かしていこうとする方には、意識喚起の意味でも、ぜひ読んで欲しい一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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必要なことは、個別組織の内側だけでなく、組織の外にも目を向けて、現状のサプライチェーンが他の組織とどのように連携しているのかを考察すること

ロジスティクスによる競争優位性を決めるのは品質、時間及びコストの3要素であるが、4番目としてロジスティクス・プロセスのバラツキの管理、すなわち「信憑性による優位性」が挙げられる

無駄のないように設計されたサプライチェーンは、マーケティング努力と最新の流行現象で急激に膨らんだ需要には対処できない

サプライチェーン改善効果への貢献を勘案しない尺度で従業員の業績を評価し続けるなら、サプライチェーンにどれほど一生懸命取り組んでも失敗するであろう

◆国際ロジスティクスにおけるリスク
市場までの時間と商品在庫のリスク+大事件

◆国際ロジスティクスが国内ロジスティクスと違う点
・長い供給リードタイム 
・長く、信頼性のない輸送時間
・多様な集約、仕分け拠点 
・多様な輸送手段と輸送コストの選択肢

◆時間の考え方を基礎としたプロセス改善の段階
1.変革する必要性を認識する 
2.プロセスを理解する
3.不要なプロセスと長時間の無駄な時間を見極める
4.無駄の原因を認識する 
5.プロセスを変える
6.変化を再確認する

◆リーン思考で考慮する7つの無駄
1.過剰生産の無駄 
2.待機時間の無駄 
3.移動の無駄
4.不適切なプロセスの無駄 
5.不必要な在庫の無駄
6.不必要な動きの無駄 
7.欠陥の無駄

◆アメリカの300以上の企業を対象にした調査
マーケティングとロジスティクスがより頻繁に共同行動を取るにつれて、より良い成績が得られ、各部門間の効率もより高くなった

◆パートナーシップ関係が潜在的に非優位性となるケース
・設計業務などの、質に関わる業務を正確に価格評価できない
・企業は、候補パートナーについて意思決定の拠り所とするに十分な情報を収集する必要がある
・競争に関わる機密情報が競合他社に漏れるリスクがある
・サプライヤー頼みの日和見主義に陥るおそれがある
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『ロジスティクス 経営と戦略』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/447837502X
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■目次■
1章 ロジスティクスとサプライチェーン
2章 最終顧客第一
3章 価値とロジスティクス・コスト
4章 国際的なロジスティクス管理
5章 リードタイム領域のマネジメント
6章 ジャスト・イン・タイムとリーン思考
7章 俊敏なサプライチェーン
8章 サプライチェーンの統合
9章 サプライチェーンにおけるパートナーシップ
10章 ロジスティクスの将来課題
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