2005年10月29日

『ブランドデザインが会社を救う!』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4093460817

本日の一冊は、日本最大級の工業デザイン会社「コボデザイン」のアドバンス・デザイン・ディレクターであり、日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員も務める著者が、モノづくり企業のブランドについて論じた一冊です。

ソニーの「クオリア」やタカラの「トランスフォーマー」、樹研工業の「2億円で作った売れない歯車」など、さまざまな事例を紹介しながら、パワーブランドの本質を、感覚的に理解できるよう工夫しています。

おそらく、本書を読んでも、目新しい理論は一切ありません。ただ、著者が言うとおり、ブランドとは「客の頭の中に存在している」ものであり、どんなにフレームワークを学んでも、広告費を費やしても構築できるものではありません。

その点、ブランド戦略の第一人者の感性を学べる本書は、実務家にとって、理論書では得られない価値を持っています。

モノづくりに携わる方はもちろん、経営者やマーケターにもぜひ読んでいただきたい一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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要するに、商品としての「もの」それ自体が、よくできていたとしても、実際に会社の命となるのは、イメージのほうなのである

膨大なお金を使って広告とか宣伝をたくさん買い、自分の会社のブランド・イメージは作れるが、そのイメージは本当に、自分がやっていることを一番うまく取り込んでいるかどうかは、別のこと

ブランドは、会社が所有するものではない。ブランドというものは、客の頭の中に存在しているにすぎない

ものづくりの会社は、「もの」で、「もの」を言うべきなのである

◆アンブレラ・ブランド
関連のない種類の企業を、1つのブランドでまとめている

日本の日立と東芝も、アンブレラ・ブランドと呼べる。しかし彼らのブランド戦略はうまくいっていないように見える。実際にこの10年の実績を見ると、あまりいいとは言えない。それは、アンブレラ・ブランドに必要な明確なアイデンティティがないからだ

ブランドを作るというのは、品質の差やエモーションだけでなく、様々なアイコンの力を借りて会社が自分のアイデンティティを創る、ということだ

一般の人にとっては、人間くさいブランドほど親しみやすい。それは、会社のトップの認知度の高いほうが親しみを持ちやすい、ということだ

完全な「ヒューマン・フェイス」のブランドの場合、その”顔”が消えると会社の力も確実に落ちていってしまう

自分の会社と初めて接触してもらう場がインターネット、というケースが多くなる

ものづくりブランドを築くとき作り手がその商品の本当の価値を感じなければ不可能である

一番強いブランドでは、平社員にまでブランド意識が徹底する

◆ブランド・デザインのプロセス
1.あなたは誰? 2.どこへ行きたいか? 3.どうやって行くか?
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『ブランドデザインが会社を救う!』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4093460817
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■目次■
まえがき
第1章 ものづくりとブランドの関係
第2章 ブランドの本質ってなんだろう
第3章 これがMONOZURIブランドだ!
第4章 どうやってブランドをつくるか
あとがき
ブランドボキャブラリー
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