2005年10月24日

『ハーバードで学ぶマネジメント・コミュニケーション』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4820118102

本日の一冊は、交渉をはじめとするコミュニケーション分野で定評のある、ハーバード・ビジネススクールの元教授陣が、マネジメント・コミュニケーションの体系をまとめたものです。

マネジャーに求められる素養は数多くあれど、究極的に必要とされるのは、コミュニケーション能力。

本書は、そのコミュニケーション能力を向上させるための理論と、実践方法をまとめた一冊です。

コミュニケーションの目的設定から、情報の受け手の分析、メッセージを伝える媒体の選択まで、ステップごとに優れた見識が示されており、じつにいい勉強になります。

応用編では、会議のマネジメントや異文化コミュニケーション、電子コミュニケーションについてまとめられており、最終3部では、効果的な文章の書き方と話し方について、具体的な形式やノウハウが示されています。

300ページを超える厚い本で、見た目は取っ付きにくく思えるかもしれませんが、文章は極めて読みやすく、内容は知的刺激にあふれています。

マネジャーはもちろん、人前で話す機会の多い方や、営業・サービスに携わる方にとっては、効果的なコミュニケーションを学ぶためのこの上ない教材です。

この本は、久々に「買い」ですね。
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■ 本日の赤ペンチェック
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◆コミュニケーションの7要素
1.発信者 
2.目標 
3.受信者 
4.コンテクスト
5.メッセージ 
6.メディア 
7.フィードバック

◆コミュニケーションとは、認識である
第1に問うべきは、「これは受け手の認識の範囲を超えていないだろうか。受け手はこれを受け止められるか」ということ

◆コミュニケーションとは、期待である
人は自分が聞きたいと思うものを聞き、あまりなじみのないものや自分にとって脅威と思うものは聞かない傾向がある

◆成功するコミュニケーションの本質
1.ロゴス(理性):言葉を支配する能力
2.パトス(情念):自分と相手の感情を支配する能力
3.エトス(理念):人としてどんな存在であるか

聞き手の正義感や、フェアプレー感覚や、人間としての尊厳に訴える能力の有無がコミュニケーションの成否を決定する

◆聞き上手になるためのテクニック
1.感情の移入(エンパシー)をする
2.どこに意見の相違があるかをはっきりさせる
3.わかりやすく言い換える
4.適切な質問をする
5.積極的に聞く
6.すぐにフィードバックする

人は、際立った事実・鮮明なイメージ・ぴったりした比較や隠喩的表現を、よく覚えているものである

フィードバックを求め、それを賢明に解釈することが、管理者として、発信者として成功するためには不可欠

◆会議への参加の成果を高める手法 ※一部紹介
1.自分に賛成する人々と一団になって座らない
2.小出しに概要を話し、意見を招き、それから自分の提案の全貌を出す
6.他の参加者がどのような感情を持っているか、できるだけ多く知っておく
8.フォローアップを確実に行い監視する。責任と期限が明確に割り当てられているかを確認
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『ハーバードで学ぶマネジメント・コミュニケーション』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4820118102
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■目次■
第1章 マネジメント・コミュニケーションの基礎
第2章 目標の設定
第3章 情報の受け手(受信者)の分析
第4章 観点
第5章 内容と議論
第6章 構造
第7章 媒体の選択
第8章 スタイルとトーン
第9章 フィードバックの授受
第10章 会議のマネジメント
第11章 変革のコミュニケーション
第12章 外部とのコミュニケーション
第13章 多様性と異文化コミュニケーション
第14章 個人・企業の倫理
第15章 電子コミュニケーション
第16章 効果的な文章(英文)の書き方―スタイル・マニュアル
第17章 効果的な話し方―スタイル・マニュアル 
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