2005年9月12日

『コトラーの資金調達マーケティング』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569644651

本日の一冊は、マーケティングの世界的権威、フィリップ・コトラー教授が、起業家、ベンチャー、中小企業のための投資家獲得戦略を説いた、珍しい一冊です。

エンジェル、ベンチャーキャピタルにはじまり、銀行融資、株式公開など、ありとあらゆる資金調達手段について解説されており、いい勉強になります。

実務的にも、それぞれの資金提供者がどのような利害と意思決定プロセスを有しているかが明確にされており、じつに参考になります。

アメリカの本の翻訳ということもあり、日本の市場とは若干ズレている部分もあると思いますが、当該分野における先進国アメリカの資金調達手段を学べる、という意味では意義のある本だと思います。

テーマの割に文章も読みやすいので、資金調達について学びたい方は、ぜひ読んでみてください。
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■ 本日の赤ペンチェック
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企業が潜在的顧客に対して、自分たちは競合相手よりも優れた価値命題を提供していると説得できなければ、顧客は他と取引してしまう。同じように、資金調達が必要な企業は投資家に対して同様の説得を行わなければならない

◆投資家の投資判断の指針
1.利益あるいはキャッシュ・フローの形での利得が大きいほうが好ましい
2.短期的な利益は遠い将来の利益より好ましい
3.リスクの高い投資よりも安全な投資が好ましい

万が一、精算された時には、債権保有者が優先権を持つため、株主はすべての請求権の中でもっとも優先順位が低い

債権保有者への金利の支払を企業は課税控除できるが、株主への配当金の支払は課税対象となる

企業の資本調達手段の選択に唯一最大の影響を与えるのは、その企業のライフ・サイクルにおける発展の程度、または段階である

アティラ(ベンチャー・キャピタル)の主観的かつ確実な判断によると、もっとも重要な項目は経営の質であり、それに参入障壁が続く

◆積極的なエンジェルが重視する4つの要因
1.エンジェルが起業家の役に立つ産業に関する知識や技術を有しているか
2.エンジェルが供給側の企業、潜在的な顧客、そしてその事業の拡大に役に立つ関係者とつながりを有しているかどうか
3.エンジェルと起業家の相性
4.エンジェルにとって起業家が”コーチング可能”かどうか

◆ベンチャー・キャピタリストの動機
1.高い投資リターン 2.自己実現

ベンチャー企業自らが鋭敏かつ現実的に、リスクについて理解していることは、資本調達の過程を促進し潜在的な投資家によい印象を与える

◆銀行のチェック・リスト
1.借り手の性質:評判と誠実性
2.返済能力:専門的知識と経験に基づく
3.状況:産業の経済的状況、製品、技術など
4.担保:債務不履行の場合に、売却できる資産へのアクセス

◆投資家と貸し手をひきつけ、確保するための「価値」
1.ブランド 2.サービス 3.プロセス
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『コトラーの資金調達マーケティング』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569644651
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■目次■
第1章 投資家や貸し手に対するマーケティング
第2章 資本調達
第3章 初期段階の資金調達
第4章 プライベート・エクイティ
第5章 貸し手
第6章 戦略
第7章 戦術
第8章 価値
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