2005年6月16日

『日本経済にいま何が起きているのか』

http://tinyurl.com/95fqd
本日の一冊は、『デフレの経済学』などの著書で知られる、学習院大学の岩田規久男教授が、経済学の基礎と、日本経済の長期停滞の理由をわかりやすく解説した一冊です。

※参考:『デフレの経済学』
http://tinyurl.com/7rnfs

なぜ日本経済が長期停滞に陥ってしまったのかがわかるだけでなく、通常、メディアを通してあいまいなまま理解している経済用語を、きちんと基礎から学ぶことができる、社会人のための経済学入門書です。

わかりやすい例を用いながら、サラリーマンや投資家、家計など、さまざまな視点から解説されているので、日本経済の問題点がすっきりと理解できるはずです。

もちろん、テキストの体裁をとっているとはいえ、提言されている政策に関しては、経済学者の間でもさまざまな論議が存在します。

ただ、その部分を差し引いても、ここまでわかりやすくまとめた本はなかなかないと思います。

経済学を学び直したいと考えている社会人、無機質な経済学テキストに嫌気が差している学生さんにおすすめの一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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日本経済が長期にわたって停滞した原因は、日本経済がデフレに陥り、人々の間にデフレ予想が定着してしまったことにある

デフレ予想が定着したままでは、構造問題を解決して潜在成長率を高めても、一時的にはともかく、それを長期にわたって維持することはできない

ハンバーガーや牛丼など、個々の商品の価格が下がることはデフレではありません

社会はモノをつくる能力を高めるだけでは、貧困や失業問題を解決できない

インフレが良いかデフレが良いかを判断する一つの基準は、そのとき名目所得がどう変化し、その結果、実質所得が上がるかどうか

企業がおカネを借りてリスクの大きな事業に挑戦し、技術革新などを進めるからこそ、経済が成長し、私たちの生活は豊かになる

◆家計にとっての経済問題
1.可処分所得を、どう消費と貯蓄に配分するか
2.「貯蓄したおカネ」を、どのような資産に配分してもつか

現在の複雑な経済では、増えたお札がそのままモノの購入に向けられたり、お札が減ったためにモノを売っておカネの不足を補おうとしたりすることは、そう多くはありません。それは、現代の発達した経済では、お札以外にさまざまな金融資産が存在するからです

日銀と政府がバブル崩壊の影響を見誤ったのは、バブル崩壊によって資産価値は下がりますが、借金の負担は、貸し手が借金を棒引きにしてくれないかぎり残ることを見逃したから

中国輸入デフレ説は国際比較をしてみると事実でない

日本経済が真に復活するには、デフレをとめるだけでは不十分で、物価が1~3%で上昇し続けることが必要
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『日本経済にいま何が起きているのか』
http://tinyurl.com/95fqd
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■目次■
はじめに
序章 デフレがわかれば日本経済がわかる
第1章 あなたの身の回りの「デフレ現象」
第2章 デフレが儲かるか、儲からないか
第3章 今日買うか、明日買うか、それが問題だ
第4章 デフレはなぜ起きるのか
第5章 なぜ日本はデフレになったのか
第6章 デフレをとめて、おだやかなインフレへ
終章 日本経済の未来は明るい
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