2005年3月27日

『強い工場』

http://tinyurl.com/6f2ez

本日の一冊は、日本経済新聞の夕刊に2回にわたって連載された、「モノづくり日本、中国と競う」と「モノづくり 世界と競う」をもとに、日本のモノづくりを見直すべくまとめられた一冊です。

日本経済新聞社の論説委員が、取材をベースに、トヨタやホンダ、スズキ、キヤノンなど、さまざまなメーカーの製造現場の取り組みと、そこに込められたモノづくり哲学を紹介しています。

工場の改善プロセスから、一体私たちが何を学ぶことができるのか。さっそく教訓を抜き出してみましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック
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「ムダ取り」。トヨタの生産現場には常に今あるものを簡略化、省略できないか考える伝統がある

「現場の困りごとには大きな改革の芽、コスト削減のチャンスが潜んでいる」
(ホンダ専務・白石氏)

日本企業はおしなべて、設備過剰のリスクより「チャンスを逃す」くやしさを避けようとする心理的な傾向が強い。だが、需要拡大の見通しがはずれたり、需要期が思ったほど長くなければ悲惨なことになる

「名無しの権兵衛さんのためにつくっているより、誰のためにつくっているのか、はっきりわかったほうが真剣になれる」
(山田日登志氏)

日本のモノづくり再生の出発点は「脱管理」にある

「ゆっくりつくれば、ミスが減る」、その結果として「ゆっくりつくれば一日の出荷量は増える」

「中国の人件費が日本の三十分の一と考えると諦めが先に立つが、日本の人件費が中国の三十倍と考えると対策を考える余地が生まれる」
(スズキ会長の鈴木修氏)

「みそ汁にそうめんを入れても切れませんが、味噌にそうめんを入れてかき混ぜたら全部切れちゃいますよ」
(マツダの研究員・栃岡孝宏氏=強度は相対的なものであるという考え方)

「店で売れるスピードで、工場で生産し、客先に届ける」
(NEC長野社長の寺沢和男氏)

多くの工場でラインの稼働率低下の原因を突き詰めると、設備の大規模な事故ではなく、「チョコ停(小さなトラブルによるちょっとした停止)」の積み重ねにあることが少なくない

「多品種生産による生産の”ムダ”こそ、新製品や高品質を実現し会社を伸ばす原動力」
(カイハラ社長・貝原良治氏)

「製造業にとって設備や機械はどこの国に行っても変わらない。違うのは人の手」。貝原はこう言う。中国、世界と競い合う日本のモノづくりの原点は、働く人の意思と知恵、技術にある
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現場で起こった発想の転換や、その結果もたらされた斬新なアイデアや仕組みが、読ませてくれます。エンジニアのみならず、ビジネスパーソンにとっても役立つ教訓が盛り込まれています。

というわけで、本日の一冊は、

『強い工場』
http://tinyurl.com/6f2ez

です。工場の改善物語と、職人たちの発想法からの気づき、両方が楽しめる、そんな読み物です。

■目次■
1章 世界最強の現場――ニッポンの自動車の底力
2章 生産現場を救え――業師たちの想い
3章 小粒で強い現場――こだわりのコストダウン
4章 セルが工場を変える――リードタイム・イズ・マネー
5章 マイスターの誇り――人材活性化への道
6章 部品こそ命――完成品メーカーを超える
7章 ネットワークに活路――目指すは世界市場
8章 日本回帰――これからの「強い工場」
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