2005年3月13日

『リクルートの現場力』

http://tinyurl.com/3o8j5

本日の一冊は、リクルートの現役社員が、その現場の秘密を初めて明かしたという、注目の書です。

リクルートと言えば、ヘッドハンターからも注目を浴びている、有名な人材輩出企業ですが、本書には、なぜリクルート出身の人間が有望視されるのか、またベンチャー企業の社長にリクルート出身者が多いのはなぜなのか、その秘密に迫っています。

これまであまり触れられていなかった、リクルートの現場事情や、社内の人事・教育制度についても詳しく触れられており、企業の人事担当者はもちろん、一般のビジネスパーソンにとっても非常に参考になります。

では、一体リクルートではどんな考え方・方法論で仕事が進められているのか。さっそくそのポイントを見て行きましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック
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全社戦略も事業ドメインもはっきりしないリクルートは、部門で戦略や戦術を決定して、現場の戦闘がそれを担保している

◆新しい事業やサービスの選択基準
1.収益性
2.マーケットの成長性
3.リクルートがやる必然性

◆リクルートの経営の三原則
「新しい価値の創造」「個の尊重」「社会への貢献」

戦略の具体化では「アサインしないこと」がリクルートのやり方だ。「アサイン」、つまり割り当て・指示・命令を基本的にはしない

◆資源配分・代謝のための制度
・キャリアWEB制度(社内の人材ドラフト制度)
 各事業の責任者は、自分の事業で仕事をすることがいかに魅力的
 で楽しくてエキサイティングかを訴え続けねばならない
・38歳で権利を得ることができる「フレックス定年制度」
・退職時に1000万円の支援金を付与する「オプト制度」

リクルートでは、既存のお客様を担当させてもらえるまでに少なくとも半年はかかる。それまではひたすら新規営業

金銭以上にインセンティブとして機能しているのが栄誉(中略)必ず前のQ(四半期)に優秀な成績を収めた人を壇上で表彰する

人は「なぜ(Why)できないんだ」と言われ続けると落ち込んでいく。自然と「だって」と言い訳するようになる。そうではなく「How」、つまりどうすればできるようになるかを一緒に考えれば前向きの議論ができる

リクルートでは、自分がどういう風に仕事をしたのかを話す機会が数多く用意されている。成果が上がった仕事を大勢の前で自慢できるのだ。自慢することで、自分の仕事の意味を当の本人が改めて自覚することになる。と同時に、それを聞いた他の人も発奮する

◆能力を高めるための仕組み
1.リクルート・ビジネス・カレッジ:企業内短期ビジネススクール
2.エグゼクティブ・ビジネス・ビュー:ビジネススクール派遣
3.ビジネス・ビュー:国内外の企業・教育機関への出向派遣制度
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ここでは紹介しきれないほど、数々のユニークな制度が紹介されており、とても参考になります。今回の本の著者は現場の方でしたが、次はこの仕組み自体を考案した方の本をぜひ読んでみたいものです。

というわけで、本日の一冊は、

『リクルートの現場力』
http://tinyurl.com/3o8j5

です。人材輩出企業、リクルートの内情がちょっとだけ垣間見れる、興味深い一冊です。

■目次■
はじめに
序章 現場の危機―「事件」の後始末とバブル崩壊
第1章 戦略は現場がつくる―PLAN(戦略立案、戦略具体化、資源配分)
第2章 自ら役割を決めて遂行する―DO(役割設定、遂行)
第3章 徹底してオープンな評価―CHECK(評価、組織的学習)
第4章 新規事業は現場が生みだす―ACTION(さらなる事業推進、新規事業創造)
第5章 自律が前提の人事制度―BASE(採用、組織基盤、人事制度)
第6章 現場マネジメントが達成したこと
第7章 リクルートの現場、これからの課題
おわりに
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