2005年2月15日

『インサイト』

http://tinyurl.com/4kwmf

本日の一冊は、外資系広告会社J・ウォルター・トンプソンで、アカウント・プランニングの仕事に携わっていた著者が、実際に担当したブランドや製品の例を挙げながら、消費者の本音に迫る方法を指南した、注目の新刊です。

かっちりしたマニュアル書ではなく、楽しみながら読むというコンセプトで書かれており、そのためか、表紙も、文芸書のような趣です。

では、一体どんな気づきがあるのか、さっそく見て行きましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック 
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消費者の気持ちを知るには、いったん自分の関わっている製品やカテゴリーのことを忘れなければならない。消費者はつくり手とは違って、一日中その製品のことを考えているわけではない

いまの消費者はつくり手側の意図をすぐ見透かしてしまう。そして狙いがわかると、一歩引いて批判的に見る

ほんのささいな接点でも、消費者は無意識のうちに何らかの気持ちを抱いている。だから、その気持ちがわかれば、どんな活動が望ましいのか、具体策が見えてくる

人の分類にとらわれず、消費者が持っている気持ちを深く掘り下げる。そして、核となるホット・ボタンは何かを一つに絞り込む

適切な仮説は、どんどん質問をしていってホンネを深く掘り下げていき、それ以上掘り下げるとカテゴリーや商品との接点がなくなる寸前にあることが多い

◆消費者がホンネを話さない理由
1.場所とシチュエーション
2.集団心理が働く
3.舞台裏を知りすぎている
4.言葉が気持ちを遠ざける
5.消費者自身が気付いていない

◆ホンネを引き出す調査方法
1.エスノグラフィック調査:対象者と行動をともにし、その場その場で気持ちなどを聞き出す
2.ポラロイド写真調査:なんでこんな写真を撮ったのか、探る
3.コラージュ・エクササイズ:潜在的なイメージを探る
4.ポストカード調査:「あなた宛てにこういう手紙が届きました。どういうことを想像しますか」と言いながら、ハガキを提示

◆使えるインサイトに絞り込むための視点
1.新しい発見かどうか
2.自分の担当しているブランドとの間に整合性があるかどうか
3.アクションにつながるかどうか
4.そのインサイトから発想が広がるくらい刺激的かどうか

◆登場する事例 ※一部のみ
・カップルのホンネを掘り下げることに成功したスキー・リゾート
・出張サラリーマンの心をくすぐるビジネスホテル
・ハウスウエディング
・ハーゲンダッツ
・シック
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こういう表現が適切かどうかわかりませんが、極めて「広告代理店的」切り口からマーケティングを論じている本だと思いました。資金が十分にない中小企業経営者の視点とは、ちょっとずれているかもしれません。

というわけで、本日の一冊は、

『インサイト』
http://tinyurl.com/4kwmf

です。消費者のホンネを探る調査手法や、著者がかかわった事例が、非常に参考になりました。

■目次■
第1章 インサイトがマーケティングを変える
第2章 インサイトの見つけ方、活かし方
第3章 インサイトが突破口を開く
第4章 ハーゲンダッツ:インサイトがブランドを進化させる
第5章 シック:インサイトが差別化を生み出す
終章 本書のまとめ
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