2004年12月2日

『市場戦略論』

http://tinyurl.com/5hrod

本日の一冊は、マーケティングの世界的権威、フィリップ・コトラー教授の論文を八本まとめ、巻末にインタビューを掲載したものです。

論文の集大成なので、全体的に体系だっているわけではありませんが、それぞれの論考は、最近の理論や研究を取り上げたものであるため、総括的にまとめられたバイブル書では得られない情報も入っています。

詳細までご紹介すると字数の関係上難しいので、エッセンスだけ抜き出してみます。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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事業部あるいは生産ラインに影響を与える5つの作用
1.顧客主義
2.統合されたマーケティング組織
3.適切なマーケティング情報
4.戦略志向
5.効率のよいオペレーション

品種過剰はまた、経営資源の配分と調整においてやっかいな問題をもたらす。その対応策として、経営陣はいままで以上に生産ラインのスリム化に専念することが肝要である。競争が激化し、数多の製品に消費者が食傷するにつれ、戦力外の製品ラインを取捨選択する必要性が、代替製品の開発と同様に増大する

製品ライフサイクルのコンセプトが指摘する3つの重要な現象
1.製品寿命には限りがある
2.製品がもたらす利益は、そのライフサイクルを通じて、終始シナリオどおりの経過をたどる
3.生産や財務計画と同様、製品にもその発展段階ごとに異なるマーケティング・プログラムが必要

衰退製品を適切なタイミングで除去しないと、代替品を見つける努
力が遅れることになる

衰退製品の管理システムを築くための第一歩
・評価基準を設定する
・業績目標を伝える
・計画の準備を促す
・判断のタイミングを定める

需要超過も供給過多と何ら変わることのないマーケティング上の問題

デ・マーケティングの三タイプ
1.一般的デ・マーケティング
2.選択的デ・マーケティング
3.表面的デ・マーケティング

廃止が検討されている商品やサービス、たとえばニュー・モデルが発表された後の旧モデルなどに、いまだかなりの愛用者がいる場合、手際よく処理する必要がある(中略)なぜその商品を生産中止することになったのかについて顧客に説明し、その商品がなくなることで実害を被る顧客のうち特に重要な顧客には部分的あるいは一〇〇%の補償を提供する。また、押しの強い顧客向けに当該商品を最小限ストックしておく

市場シェア・マネジメント戦略
1.市場シェア構築戦略
2.市場シェア維持戦略
3.市場シェア縮小戦略
4.リスク低減戦略

市場シェア構築戦略を設計する上で検討しなければいけない点
1.ターゲット市場は成長中なのか、安定しているのか、あるいは衰退しているのか。
2.商品は類似性が高いのか、差別化されているのか。
3.経営資源はライバルに比べて潤沢なのか、乏しいのか。
4.ライバルの数とその活動の有効性はどうか。

市場シェアを獲得するする上で最も効果的な戦略は『商品のイノベーション』である。商品の模倣を繰り返しても、市場が成長していれば自社も成長できるかもしれないが、既存の市場シェアを拡大させることにはつながらない。

高い市場シェアによってもたらされる不安要素を低減する方法
・広報活動
・ライバルとの和解
・行政との相互依存と法制化
・多角化
・社会的対応力の向上

高シェア企業は、巨大かつ特殊なリスクにさらされているという点で、難題に直面しているといえよう

現行の市場シェアと適正な市場シェアの関係を注意深く分析し、双方をいかに一致させるかについて計画し、行動することが求められるのだ。

これら二つの市場シェアを一致させるために、高シェア企業は、市場シェア縮小戦略やリスク低減戦略を用いなければならない状況に置かれている。

消費者でない人々に対して、適切な時に適切な量のインセンティブを与え、圧力をかけることが必要になる場合がある。

メガ・マーケターは「門番」からも良い反応を得るために、見返りや制裁を使うことすらある。メガ・マーケティングを定義しよう。それは、経済的、心理的、政治的、そして広報スキルを戦略的に総合して応用し、特定の市場に参入し、そこで活動するために関係者の協力を得ることだ。

モトローラは、通信機器の日本での販売に長年努力してきた。しかしそれが成功したのは、アメリカ政府に日本に対して圧力をかけるように促し、また日本の厳しい、ややもすると身勝手な規格に合致させるようにその装置を再設計したときだった。

封鎖市場とは、よりよいマーケティングをもってしても、既存の関係者たちによって、参入と活動の希望が阻まれている市場、という意味である。その際の障壁としては、政治的なえこひいき、カルテル協定、社会的あるいは文化的な偏向傾向、非友好的な流通チャネル、協力への拒否などがある。これらは、メガ・マーケティングが克服すべき課題なのである。

顧客やエンドユーザーは必ずしも主要な問題ではない。巨大な門扉が、その会社の市場参入への道筋を阻んでいるときに、門を爆破してしまうか、少なくとも、その商品が潜在顧客に対して提供できるように、カギを探し出さなければならない。

メガ・マーケティングでは四Pという通常の手段以外に、権力と広報活動の二つが加わる。

メガ・マーケターは洗練されたロビー術と交渉スキルを身につけ、自社の本音を隠しつつ相手から望ましい反応を引き出さなければならない。

ある市場から閉め出されている企業は、次のような三つの段階からなる参入戦略を作る必要がある。それは、権力構造のマッピング、基本戦略の構築、そして戦術的な実施計画の策定である。

マーケティング部門に広範な権限を委譲することは、今必要とされている部門間の連携を達成する最善の方法でもなければ、また唯一の方法でもないのである。

新商品を検討するうえでは通常、二つの異なった分析が実施される。「親和性評価」次に「利益評価」

利益評価モデルの先駆けとなったのは、総コストと総売上げの予測値に基づいて損益分岐点を導き出すという、単純なものだった。投資回収期間が決定的な判断要素とされることもあったのである。最近では、商品のライフサイクル、DCF(割引キャッシュフロー)、不確実性、さらにはマーケティング・ミックスが販売にもたらす影響などを加味したモデルも考案されている。

利益評価の最新モデル
・利益割引モデル
・DEMON
・シミュレーション・モデル

価格を改定した場合に顧客や競合他社がどのように動くのか、ベイズ理論を用いて分析しようとする企業が増えている。

いくつかの条件を伴うとはいえ、売上げの季節変動に合わせて広告支出を調整すべきなのは、広告効果の持続性が低く、固定客からの売上げが少ない場合だけということになる。これら二つの条件のどちらか片方でも欠けたなら、売上げのピーク時期を迎える前に、集中的に広告を打つべきである。

効果が時間をかけて浸透していくならば、早め早めに広告を展開しておく必要がある

広告のタイミングを誤ると、生産スケジュールや在庫水準がひどく混乱する。なぜなら、広告はすぐに消費者の行動に影響するわけではなく、小売レベルの購買決定が売上データとして工場に届くまでには、時間がかかるからだ。

市場シミュレーターが最も威力を発揮するのは、新たなマーケティング戦略の企画に苦心惨憺したり、そのアイデアを探し求めたりしている局面

マーケティングは企業目標を実現するための地図なのです。これらの機能の上位に位置づけるべきシステムですから、これがそうなっていないとしたら、マーケティングをきちんと獲得し、その執行に責任を負う人や組織が必要かもしれません。

顧客のニーズを理解する、そのための調査を実施する、情報やデータを収集・分析するということもマーケターの守備範囲ではありますが、これら以上に顧客が抱える課題を解決するという一連のプロセス全体に責任を負っているのです。これが優れたマーケターというものです。
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定評あるコトラー教授のテキストに比べ、具体的かつ新鮮な事例研究、学説が多く盛り込まれているため、なかなか有用だと思います。

というわけで、本日の一冊は、

『市場戦略論』
http://tinyurl.com/5hrod

です。ちょっと内容は難しいですが、読み応えのある一冊です。

目次
はじめに
第1章 マーケティング思考と販売思考
第2章 撤退のマーケティング戦略
第3章 デ・マーケティング戦略
第4章 市場シェアのマネジメント
第5章 メガ・マーケティング
第6章 顧客思考はクロス・ファンクショナルを求める
第7章 マーケティング・サイエンスの原点
第8章 芸術とビジネスのコラボレーション
補遺 【特別インタビュー】マーケティング・マインドの追究
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