2004年10月9日

『10億円借りたいなら決算書はこうつくれ!』

http://tinyurl.com/4qvhe

本日の一冊は、融資を受けるための考え方や、決算書のつくり方について述べた一冊です。

著者は、大手都市銀行で融資担当をしていた方で、話の内容は、ベストセラーとなった『借金バンザイ!』によく似ています。この本も、著者は、某地銀の融資担当だった方ですから、どこの銀行でも融資担当は同じ基準で企業を判断している、ということが言えるのだと思います。

参考:『借金バンザイ!』
http://tinyurl.com/6mc84

最近、経営者になってみて、いろいろとものの見方が変わってきました。なぜビジネスプランを作らなければいけないのか、借金をしなくてはならないのか…。

昔、何かの講演会で、朝日ソーラーの林社長がおっしゃっていたことを、今でも覚えています。

「カネがなければ、夢もしぼんでしまう」

その時は、「そういうものかなあ」となんとなく聞いていましたが、今になって本当にそう思います。

やはり資金調達は社長の仕事であり、夢や理念を実現するためにも、それは必要なことなのです。

今回の本は、経営者やファイナンス担当でもなければ、読む必要はないのかもしれません。しかし、これから起業しようとする人は、融資という名のルールを理解しておくために、ぜひ読んでおくべきだと思います。

では、その融資のルールとは何か。さっそく見ていきましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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どんな会社だって、いいところがあるはずで、それを伸ばす経営をすれば必ず良くなる。だから、その良さを100パーセント引き出している決算書であれば、必ずおカネを借りることができる

会社が倒産しそうなときに融資してくれる銀行などありはしません

融資を受ける際のポイント
・まず本業を黒字にすること
・自社の強みと弱みを把握し、「選択と集中」を考えた経営をすること
・既存職種に安穏とせず、先を見越した新規事業を常に考えること
・将来に備え、社員を育てること。何より社長の後継者を育てること

メーンバンクが支援してくれる”困ったとき”とは、企業が発展する上で必要不可欠な資金が不足しているとき

財務内容評価80、今期の見込み20。私が銀行と資金調達交渉をする上で感じた率直な比重です。試算表ベースで黒字、今期の見込みも黒字のとき、かなりの確率で融資は成立します

もし赤字から脱出する見込みがないのなら、その場しのぎの融資で債権額を拡大するのではなく会社清算も選択肢として検討すべきです

おカネが借りられる決算書を作る、ということは、信用格付けという仕組みのなかで評価される決算書を作る、ということと同じ

信用格付けの方法は金融機関によって評価に使用する財務指標などが違います。さらにいうと、方法が違うだけでなく、レベルも違う。レベルが違うというのは、同じ財務内容であれば、メガバンクよりも地方銀行、地方銀行よりも信用金庫のほうが格付けが上位になるということです。

安全性、収益性、成長性、そして返済能力の4つの項目を重要だと思われる順番に並べると、(これはあくまで私見ですけど)、
1.安全性50%
2.返済能力30%
3.収益性10%
4.成長性10%
です。つまり、安全性や返済能力といったポイントが、非常に大きなウェイトを有しているということがいえます

新規工作に訪れる銀行を吟味し、取引銀行を増やす
1.担保不足が緩和される
2.競合させることで例外的に安くなる
3.銀行にとってもリスク分散できる

どうすれば借りられるかは銀行員に聞けばいい

■10億円借りられる決算書を作る10のポイント■
1.遊休資産の整理は、庭の草取りみたいなもの
2.「流動資産>流動負債」になっているか?
3.短期よりも長期資金で借りる
4.固定資産と資本金のバランスが崩れていませんか?
5.資金需要と借入金をマッチングさせるという考え方
6.建物を長期借入金で賄い、機械をリースで賄う
7.低金利時代は固定レート7割、変動レート3割で借りる
8.月商の3カ月分を現金や預金で持っておく
9.借入金が10年分のキャッシュフローよりも大きかったらヤバイ
10.(運用は)「増えなくてもいいから、減らないものにしてください」

手っ取り早く決算書を書きかえる超裏ワザ!
・オフバランス化―資産の流動化
・借入金を資本金に変えるウソのようなスキーム―デッド・デッド・スワップ
・借入金はそのままで、金利負担だけを軽減―金利スワップ

融資というのは相手を信用し、そしてお互いに発展していくためのものです。それこそが、銀行と会社とが目指す、本物の関係ではないかと思います
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さまざまテクニックもさることながら、最期のひと言は、グッと来ましたね。やはり、お金の貸し借りも、基本は人間関係(甘えではなく)、ということなのでしょう。

というわけで、本日の一冊は、

『10億円借りたいなら決算書はこうつくれ!』
http://tinyurl.com/4qvhe

です。単なるマニュアル書をこえた、読み物としても楽しめる一冊です。

目次
序章 危ない決算書を、10億円借りられる決算書にする
第1章 会社が悪いのではない、決算書が悪いのだ!
第2章 信用格付けで死ぬ会社、生きる会社
第3章 つきあい方を変えろ!誰も気づかなかった銀行取引
第4章 10億円借りられる決算書を作る10のポイント
第5章 手っ取り早く決算書を書きかえる超裏ワザ!
第6章 「えっこんなのがあるの!」驚きの“最新”金融事情
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