2004年10月12日

『駆け出しマネジャーアレックス コーチングに燃える』

http://tinyurl.com/66uh7

本日の一冊は、以前に紹介した『駆け出しマネジャー アレックス リーダーシップを学ぶ』の続編です。

参考:『駆け出しマネジャー アレックス リーダーシップを学ぶ』
http://tinyurl.com/5zybv

このメルマガからも、ぼちぼち売れていたようですが、これ、はっきり言っておもしろい本です。実際、アマゾンでもかなりのベストセラーとなりました。

今回の続編では、「せっかくコーチングの技術を身につけつつあったのに、あまりの忙しさと重圧からつい昔の悪癖が出てしまった」アレックスが、改心し、コーチングを学んでいく過程を描いています。

付録として、読者のコーチングレベルを測るためのチェックリストがついているのですが、土井の評価は、「この本のアドバイスをいくつか活かせれば、仕事の効率が俄然上がるはずです」でした。

というわけで、未熟者の土井も、この本を読みながら、コーチングの何たるかを学ぼうと思います。

では、さっそくこの本の要点を見ていきましょう!
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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コーチングのエッセンス
・コーチングの目的は、相手の仕事の成果や学習能力を高めること
・そのためには相手の行動についてフィードバックを与える、相手のモチベーションを高める、効果的な質問を発する、といったテクニックが必要
・コーチは、最終的には相手が自分で答えを出せるようにする

一五分だけ有名になるのはだれでもできる。だが一五年覚えていてもらうのは難しい(アンディ・ウォーホルの言葉)

知恵が生まれてくるのを助けることはできるが、知恵を授けることはできない(ソクラテスの言葉)

相手の視点をがらりと変えられるような問いかけは、一方的に指図するよりずっと効果がある

コーチングする側もされる側も、何が問題なのかを明確につかんでおく必要がある。それから意見を聞く時は変に身構えず、素直に心を開いて受け止めなければいけない

コーチングを巡る五つの誤解
1.コーチングは人助けのためにするものである
2.コーチングをするには相手をよく知らなければならない
3.コーチングとは相手に意見や助言を与えることである
4.コーチングには膨大な時間がかかる
5.仕事をしていない人にはコーチングは関係ない

フィードバックを与える時の順番(AIDアプローチ)
1.相手の行動について、どの行動がよく、どれが悪いかはっきりさせる
2.その行動がどんな影響を及ぼすか指摘する
3.どうすればもっとうまくいくか考えさせる

GROWアプローチ
ステップ1.話し合いのテーマや目標を決める(Goal)
ステップ2.実際の行動を振り返り、典型的な例を挙げる(Reality)
ステップ3.思いつく限りの対策を考え、実行可能なものを選ぶ(Options)
ステップ4.次に着手すべきことを具体的に決め、期限を設定し、
      障害を乗り越える方法を探る(Wrap-up)

※GROWアプローチで気をつけるべき点は、本書をご覧ください

マイヤーズ=ブリッグズ・タイプ指標(MBTI)による、4つの志向性
1.外向型vs.内向型(エネルギー源)
2.感覚型vs.直観型(ものの見方)
3.思考型vs.感情型(判断基準)
4.判断型vs.認知型(対処の仕方)

コーチングをサボる理由
1.時間がない
2.相手が聞く耳を持っていない
3.特にコーチングが必要な問題はない
4.相手を傷つけてしまうかもしれない

※対策に関しては、本書をご覧ください

「即席コーチング」の手順
1.現状の問題点を明らかにする
2.本来あるべき姿を明確にする
3.現状とあるべき姿の間のギャップ、障害物を洗い出す
4.その障害物を取り除くための具体的な方法を考える

能力・意欲マトリックスの使い方
STEP1.部下に割り当てた仕事だけを対象に、能力と意欲を評価する
STEP2.適切なコーチングのスタイルを決める
STEP3.部下とコーチングのスタイルについて話し合い、同意を得る

部下のやる気を引き出す4つのステップ
1.現状では、やる気をなくす「悪循環」にはまり込んでいるのか、やる気の高まる「好循環」に入っているのかチェックする
2.悪循環にはまり込んでいる場合:直接話し合って自信をつけさせる
3.何か手助けや訓練が必要か、見極める
4.相手の意欲を最も刺激する要素は何かを見極める

作業手順を明確に決めるための5つのステップ
1.最初の二週間のうちにリーダーは半日程度のミーティングを開き、基本的なルールと「」チーム憲章」と言うべきものを決める
2.早い段階で、能力開発の必要性について率直に話し合う
3.作業計画の原案づくりにはメンバー全員が参加する
4.プロジェクトの進行中は、メンバー全員が意見交換を気持ちよく行えるようにする
5.六週間ごとにチームの実績評価を行う

コーチングの注意事項
1.心理学者の真似をしないこと
2.コーチングに深入りしすぎて、戦略上・業務上の重要課題を放置しないこと
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このシリーズのすごいところは、ストーリー形式で読みやすいのに、きちんと学術的な理論までカバーされていることです。ページ数が比較的少ないことや、トピックごとにうまくまとめられていることから、企業のリーダー研修などにも適した内容と言えるでしょう。

というわけで、本日の一冊は、

『駆け出しマネジャーアレックス コーチングに燃える』
http://tinyurl.com/66uh7

です。前作を買い損ねた人は、いまからでも遅くはありません。コーチングの理論と実践が楽しく学べる、貴重な一冊です。

目次

1 なぜコーチングは必要か アレックス、過去に思いを馳せる
2 よい問いは能力を引き出す アレックス、的確な質問の効果に気づく
3 受け手は素直に、率直に アレックス、上司の本音を聞き出す難しさを知る
4 コーチングを巡る五つの誤解 アレックス、自分の心得違いを思い知る
5 聞く耳をもたせる アレックス、初めてコーチ役となる
6 GROWアプローチ アレックス、必殺技を伝授される
7 性格診断の有用性 アレックス、心理学をかじってみる
8 時間がない症候群 アレックス、せっかく学んだ教訓を忘れる
9 即席コーチング アレックス、応急処置で急場をしのぐ
10 能力・意欲マトリックス アレックス、大所帯のマネジャーに昇進する
11 部下に避けられた時 アレックス、人間関係の真理を学ぶ
12 やる気を引き出す アレックス、小さな自信が好循環を生むと知る
13 文化の違い アレックス、押しつけはいけないと悟る
14 チームのコーチング アレックス、井戸端会議に聞き耳を立てる
15 生兵法は大怪我のもと アレックス、調子に乗りすぎる
16 上司に意見する アレックス、虎穴に入って虎子を得る
17 メンターの七つの役割 アレックス、よき兄貴分になる
18 優れたコーチとは アレックス、知識と経験を体系立ててまとめる
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