2004年10月15日

『理系のための企業戦略論』

http://tinyurl.com/4cyvz

本日の一冊は、理系出身のビジネスパーソンが、「技術にうとい」文系ビジネスパーソンを出し抜くための一冊です。

理系の学生、あるいはビジネスパーソンに向けて、企業戦略のエッセンスをわかりやすくまとめているため、じつは文系ビジネスパーソンにとっても有用な一冊です。

第一章「戦略とは何か」にはじまり、「イノベーション戦略」「研究開発戦略」まで、理系が学ぶべき経営学のエッセンスを、事例を交えながらまとめています。

では、具体的にどんな内容が盛り込まれているのか。さっそくポイントを見ていきましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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戦略とは「競争すべき相手がいる」からこそ立案される

企業戦略には「王道」がない

戦略とは何をすべきでないかを決めることである

(インテル、アンドリュー・グローブの決断を受けて)一定の成功を収めていた企業で、経営資源を集中して新しい事業を始めるのは容易ではない。権限を有した経営者でなければ決断できないだろう

SWOT分析は分析者の主観によって判断されるものである(中略)若干の混乱は不可避であるが、自社の状況及び取り巻く事業環境が整理され、その分析結果に基づいて議論を深めることが重要である

シュンペーターが提示した5つのイノベーション
1.財貨・商品(サービス)
2.生産方法
3.販路
4.原料・半製品の供給源
5.独占的地位

トリクルアップ戦略
新技術の応用を利益率の高い、特殊用途を必要とする製品へと順次展開するという戦略

高度な製品だけを目指すのではなく、低位の製品開発も重視する企業戦略は、イノベーターのジレンマを回避するために有効な戦略

イノベーターのジレンマ
顧客の声を忠実に聞く企業であればあるほど、すなわち優れたイノベーターであればあるほど、その企業が既存の市場を失う可能性が高くなる

成功企業が破壊的イノベーションへの対応が遅れる要因
・顧客の声に耳を傾けすぎる
・破壊的イノベーションの市場は当初は魅力的でない
・新しい開発に対するリスクを恐れる

イノベーションが製造企業あるいはIT系企業の企業間関係あるいは業界構造に大きな変革を与えうる可能性が増大していることから、それに対抗するため、企業にとって新しい知識を創出するための知識マネジメントがますます重要になってきている

従来の多角化とその成果に関する研究成果
1.多角化により収益性は向上する(もしくは、相関がないとする分析結果もある)
2.関連分野における多角化が収益性を向上させる
3.非関連分野における多角化は企業の収益性を低下させる

死の谷
基礎研究や市場投入がなされた研究開発活動には、資金投入が比較的容易になされるが、両者の中間の段階にある研究開発テーマ、すなわち基礎研究と市場投入をつなぐ研究開発テーマには資金投入を行うことが困難である

企業経営者にとって、この死の谷を越えることが重要な経営課題

革新的な組織に必要な「ゲートキーパー」の条件
・専門性が高く、企業の外部及び内部から高い信頼を得ている人材
・組織内外の人材との豊富な人脈を有している(人材)
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技術力を富の源泉とする企業が、何を経営課題とすべきなのか、経営者は意思決定において、何に注意すべきなのか、といったことが書かれています。また、「技術のわかるビジネスパーソン」として活躍するために、どんな要件が求められているかについても、コメントされています。

というわけで、本日の一冊は、

『理系のための企業戦略論』
http://tinyurl.com/4cyvz

です。メルマガでは紹介し切れませんでしたが、インテルやシャープ、アマゾンなどの事例分析も、読み応えがあります。

目次
序章
第一章 戦略とは何か
第二章 イノベーション戦略
第三章 ビジネスモデル戦略
第四章 多角化戦略
第五章 研究開発戦略
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