2004年10月19日

『ヒューマン・リソース・マネジメント』

http://tinyurl.com/639u2

本日の一冊は、『キャリアショック』『成果主義は怖くない』などの書籍で知られる、高橋俊介さんによる、人材マネジメント論です。

参考:『キャリアショック』
http://tinyurl.com/5cjzs

参考:『成果主義は怖くない』
http://tinyurl.com/5jt9k

スカイパーフェクTV!の「ビジネス・ブレークスルー ビジネス基礎講座」6回分の内容をまとめ、加筆修正したものだそうです。

テキストとして編まれただけあって、人事上のさまざまな課題が体系的にまとめられており、すんなりと頭に入ってきます。

「衛生要因」「動機づけ要因」の話も登場しますし、なにより注目したいのは、事例を含め、当該分野の研究成果がふんだんに盛り込まれている点です。

どんな内容が盛り込まれているのか、ポイントをまとめてみました。ご覧ください。

—————————————
 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
—————————————
事業ビジョンが決めなければならない「3つのこと」
1.誰がお客様なのか(顧客ターゲット)
2.その顧客に対してどんな価値を提供するのか(価値提供)
3.どうやって儲けるのか

事業ビジョンが経営の意思であるとすれば、それとリンクする人材マネジメントも経営の意思によって決めるべきものであって、正解が普遍的にあるものではない

「企業風土は経営の意思に関係なく周囲の環境からつくられたもの」と答えた会社よりも、「企業風土は自分たちの意思でつくってきた」と答えた会社の業績がいい

組織マネジメントの6つのスタイル
1.WHATよりはHOWをその都度具体的に指示する個別命令型
2.WHATよりHOWを具体的ルールにするマニュアル型
3.WHATを一般的に記述する職務記述型
4.具体的目標数値だけを与え、あとは極力自由にする数値目標型
5.質的目標も含め、WHATを相互に合意し、HOWはできるだけセルフマネジメントさせる目標管理型
6.ビジョンや行動指針などの方向性だけを与え、WHAT構築からのサイクルを自律的に回させる自己管理型

自律組織をつくる上で一番重要なのは、WHATを構築する人の数が増えることであって、そのWHAT構築能力のある人間を増やしていかなければ会社は儲からない

トップが意図している形で、自らが質的に高いWHATを考えて、自分たちでやっているかどうかをチェックする体制も必要

組織品質の高い組織マネジメントの要件

1.自律組織では、ビジョンや行動指針、提供価値といった抽象的概念の具体的理解と行動を一致させる
2.トップ自らが自分の言葉で繰り返し伝える
3.第一線のリーダーがそれを自分たちの言葉で伝える
4.具体事例やメタファー、デフォルメを使う
5.様々なメディア、グループ討議方式、研修の活用、映像、カード、メールは特に具体事例で示す
6.伝わっているか、行動しているか確かめる。それができるまで許さない愚直さをもつ
7.セルフマネジメントのサイクルを回す
8.先行指標によるセルフマネジメントを機能させる

仕事で役立つ人間の能力
1.スキル、2.頭の良さ、3.行動特性・思考特性、4.動機

勝負能力開発は、新しいやり方、新しい課題、新しい仕事に常にチャレンジして、それに気づき、開発することが肝要

行動特性・思考特性といった能力は、特に最初の10年の仕事特性やマネジメントスタイルに影響される

これからの報酬制度の4つの流れ
1.予見性の低い、柔軟な報酬制度
2.一律性の低い、事業別、職種別、カンパニー別の報酬制度
3.序列性の低い、組織序列と等級というより、業種別や職種別などの給与相場と期待成果や実際の貢献度による報酬制度
4.詳細な給与表や中央人事部の個別管理でなく、ライン主導のシンプルで柔軟な報酬制度

企業のパフォーマンス、組織のパフォーマンスに相関が最も高いのは、やる気があるというよりもコミットメントしているという状態

外因的コミットメント→報酬やポストで引き出す
内因的コミットメント→コーチングの考え方が役立つ

※コミットメントを引き出す具体的な手法、考え方については書ききれないので、本書をご覧ください
—————————————
いかがでしょうか。本当は事例も含め、もっと紹介したかったのですが、長くなってしまうので、この辺にしておきます。

というわけで、本日の一冊は、

『ヒューマン・リソース・マネジメント』
http://tinyurl.com/639u2

です。決して著者の思い込みではなく、研究成果から得られた「人を動かす要因」が、客観的に語られている点が魅力です。

目次
まえがき
第1章 事業ビジョンと人材マネジメント
第2章 組織の自律性と組織運営の仕組み
第3章 人の能力と人材フローマネジメント
第4章 人事制度の歴史と報酬管理の流れ
第5章 仕事コミットメントと組織コミットメント
第6章 雇用とキャリアのマネジメント
第7章 福利厚生のマネジメント
あとがき
━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

この書評に関連度が高い書評

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー