2004年10月17日

『なぜあの人だと話がまとまるのか?』

http://tinyurl.com/6bzpm

本日の一冊は、コーチングやファシリテーションを専門とする戦略コーチ、田村洋一さんによるファシリテーションの実践ガイドです。
ロジカル・シンキングや、コーチング、ファシリテーションの本が流行で終わってしまうのは、理論を実践して自然にできる状態までもっていかないと、効果を発揮しないからだと思います。そういう意味では、著者が本書のなかでたとえている通り、自動車の運転に近いものなのかもしれません。

本書の最大の特長は、著者が定期的に疑問を投げかけることで、読者に考える機会を与えていることだと思います。

200ページに満たない薄い本ですが、考えながら読み進めていくうちに、話をまとめるテクニックと考え方をマスターできるはずです。

では、具体的にどんな内容が盛り込まれているのか。さっそくそのエッセンスを見ていきましょう。
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 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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「問題解決」という考え方、心の持ち方に根本的な問題があるのだ。まず、問題解決のアプローチでは、視界が狭くなりやすい。理解よりも解決、把握よりも行動に走ってしまいがちだ

話がまとまる3つのステップ
・ゆるめる
・伸ばす
・縮める

緊張構造とは、実現したいビジョンや目標と、それに対応する現実との間に生じる構造的な関係のことである。そして、この緊張構造をつくることが成功の第一歩、いや成功の半分以上を占めるといってもいい

「現在から将来ビジョンを展望する」のではない。「将来ビジョンから現在を展望する」のである

話がまとまるプロセスでどんなことがおきていれば満足なのか、を考えて欲しい。具体的な成果が数値化できないなら、無理にしなくても構わない。ただ、話が決着したら、それでどんないいことがあるのか、誰がどう喜ぶのか、何がどうよくなっているのか、わかっていることだけを書く

組織を相手にするには、成功の鉄則がある。それは、組織そのものを相手にしない、ということである。(中略)あなたの組織に何人ひとがいようとも、ひとりひとりの個人を選んで相手にすること

人数が多くても少なくても、基本的なスタンスは変わらない。まず、その相手にどうしてほしいのか、自分の意図を明確にする。次に、その目的を果たすためのメッセージを書く。そして、メッセージを受け取った身になってそのメッセージを読む。最期に、そのメッセージが自分の意図にあった効果を持つのか考えながら、メッセージを書き直す。足りないものがあるとしたら何なのか。事実なのか。論理なのか。視点なのか。わかりやすさなのか

話がまとまるには、「何のために」(Why)と「どのように」(How)の両方が必要である。(中略)しかし、特に強調したいのは、ハウツーよりホワイツー、ノウハウよりノウホワイ、マネジメント以上にリーダーシップのスキルである

「離見の見」を実践できるためには、相手主義を体得すること、そのために自分主義にけりがついていること。次に何を聞き、何を言う、ということが潜在意識の中に染み込んでいて、相手の様子を鋭敏に感じ取れる状態にあることが大切である

積極的傾聴のパラドックスを乗り越える心構え
・意図を持ちながら意識を持たない

傾聴の3つのレベル
1.自己中心
2.相手中心
3.全方位

それでもまとまらないとき
・自分でやる、ひとりでやらない
・話がまとまらない言い訳をする
・諦める
・距離を置いてみる
・説得しない
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読んでみたら、ビックリ。かなり原理原則や心構えに寄った内容でした。それだけに、ファシリテーションに興味がない人でも楽しめますが、手っ取り早く具体的ノウハウが欲しい、という人は肩すかしをくらうかもしれません。

というわけで、本日の一冊は、

『なぜあの人だと話がまとまるのか?』
http://tinyurl.com/6bzpm

です。悩んでいるマネジャーの癒し本として、また会議やチーム運営の心構えとして、読んでみるとおもしろいかもしれません。

目次
序章 「話がまとまる」とはどういうことか
第1章 自分が本当に望んでいるものは何か
第2章 自分の価値を明確にする
第3章 戦略的に緊張構造をつくりだす
第4章 組織に動いてもらう
第5章 相手主義
第6章 話を聞く
第7章 それでもまとまらないとき
終章 話がまとまるための行動様式
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