2004年9月4日

『社長業、代行します。』

http //www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4860630661/

本日の一冊は、中小企業の再生を専門に引き受けるコンサルタント、野田榮一さんによる、ドキュメント&ノウハウ集です。

著者は、父親の会社の清算や、大倉商事時代の倒産劇を経験し、「会社は絶対に倒産させるべきではない。その会社の使命や役割が終わったら、誰にも迷惑をかけず粛々と清算するべきである」との信念から、現在の事業を始めたようです。

大企業の再生モノが、「官僚主義がはびこっている状況にうんざり」だとすれば、本書の内容は、「あまりに悲惨な状況に目も当てられない」といったところです。企業経営と個人の生活が直結する中小企業だけに、壮絶な人間ドラマが展開されていたりもします。

基本的にサクセスストーリーしか出てこないスマートな大企業の再生モノと違い、どうしても再生できず、清算の道を選んだ例なども挙げられており、非常に参考になります。

再生か清算かを見極めるポイントや、再生の手順、法律面での注意点など、実務で役立ちそうなポイントがいくつも登場する点が、本書の魅力ではないでしょうか。

ドキュメントタッチで綴られているため、今日は、どんなケースが登場するのか、といった点だけまとめておきます。
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 登場するケース
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1.オーナー社長が失踪した、健康食品販売会社のケース
※株主総会が開けないため、法的な処理が読みどころです

2.大倉商事の子会社、M社のケース
※リストラを始めとする改革のポイントが示されています

3.六年間、毎年六千万円の赤字を続けた老舗洋菓子店のケース
※企業を清算する時の手続きや、起こりうる問題点が、生々しい体 験とともに書かれています

4.再建に成功したが、社長の経営姿勢に問題アリの製麺会社
※「ムダ」に対する考え方を学ぶことができます

5.改革が頓挫したディスカウントショップ
※社長の決断がいかに大事か、を教えてくれます
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ほかにも、さまざまなケースが登場し、最後には「社長の弱点」や、会社を再生するための財務諸表の読み方などもまとめられています。

というわけで、本日の一冊は、

『社長業、代行します。』
http //www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4860630661/

です。企業再生の現場の生々しいレポートを読んでみたい方、実践のための考え方やノウハウを学びたい方には、おすすめの一冊です。

目次

ドキュメント 社長失踪……破産寸前の会社を再生させた四カ月
PART1 私の原点・はじめての社長業
PART2 再建のケース、そして清算のケース
PART3 会社をダメにするのはどんな社長か
PART4 会社を再建するための数字の使い方
PART5 細胞経営のやり方
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