2004年8月1日

『目指せ、億万長者!』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4893871501

本書は、1997年に書かれたものであり、内容は若干古いですが、このような切り口で書かれた本は現在、あまりないため、あえてご紹介いたします。

本書によれば、長者番付に登場する職業はほぼ決まっています。

作家
歌手
俳優・タレント
作詞家・作曲家
家元
画家・漫画家
ゲーム作家
ニュースキャスター
デザイナー
棋士

著者が画家のため、経営者・投資家などは出てこないのですが、なかなか面白い発見があります。というのは、彼らはすべて、メディアに絡んでいるか、強力なネットワークのなかに身を置いています。つまり、自分の仕事を1として、それを10倍、100倍に拡大するしくみを備えているのです。

本書のなかで著者は、平均的なのサラリーマンとスポーツ選手、大学教授(平均56歳)、会社社長(あくまでも平均)の収入の比較を試みています。

これによると、大卒のサラリーマンが一生かけて稼ぐ金額は約3億円、トップクラスのスポーツ選手が年俸2~3億円、内閣総理大臣が年収3800万円以上、大学教授が年収1200万円以上、会社社長が年収約2800万円です。

ここで著者が言いたいのは、高学歴で地位が高い人々よりも、好きなことをやって稼いでいる人の方が給料が高い、ということのようです。

ただ、この主張には、いくつも問題点があります。

まず1点目は、スポーツ選手やタレントには、「生存者バイアス」が存在する、という点です。「生存者バイアス」というのは、生き残った者を対象にして統計を取るから、平均値が大きく出てしまう、という問題です。

それから2点目は、サラリーマンや会社社長に関しては、平均値を取って比べている、ということです。この両者を比較すれば、当然結果にはバイアスがかかってきます。

最後に3点目ですが、この比較は、確率の視点をまったく盛り込んでいないということです。昔、学校で習いませんでしたか?
そう、「100%の確率で1万円もらえるのと、50%の確率で2万円もらえるのと、どっちを選びますか?」という質問です。じつはこれ、確率的にはどちらも一緒なんですね。

つまり、確実に年収789万円(単純に著者が言う大卒の生涯賃金3億円を60歳定年までの38年で割ってみました)もらえるのと、ごくひと握りのスポーツ選手が得られる年収3億円とではどちらが得かと言われると、実際のところは「?」なのです。なぜなら、3億円というのは、789万円の38倍に過ぎないのですから。つまり、本当のトッププレイヤーになれる可能性を考えたら、じつはあまり得ではないのです。

このような問題点はありますが、それでも本書は読む価値があると思います。なぜなら、人間にはそれぞれ固有の才能があり、誰が花咲くかはわからないからです。著者はさまざまな手を使って読者の意識喚起をしようとしていますが、読者が本当に一歩進みたいのなら、のせられてみるのも手だと思います。

というわけで、本日の1冊は、

『目指せ、億万長者!』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4893871501

です。好きなことをやりながら周りを幸せにし、成功もつかみたい
という方には、良いビタミン剤になると思います。
※しかし、このモナリザもどきの表紙は一体…。

目次

はじめに 自分の夢を成功させて、成功するための秘訣がわかった!
第一章 自分の好きなことをやった者が億万長者になっていく
第二章 誰でも簡単に夢は実現できる
第三章 夢を次々と実現させる私の欲ばり成功法
第四章 さあ、どうすれば億万長者になれるか
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